岩貞プロ初完封!初G戦で菅野に勝った
「巨人0-1阪神」(27日、東京ドーム)
Gのエースに投げ勝った。阪神・岩貞祐太投手(24)が巨人戦プロ初登板でプロ初完封勝利を挙げた。初回に奪った虎の子の1点を最後まで守りきった。今季無敗だった巨人・菅野に土をつけ、チームの連敗は2でストップ。勝率5割復帰で3位へと浮上した。
九回、岩貞がマウンドに上がると地鳴りのような大歓声に包まれた。相川の打球を左翼・板山が捕球したのを確認し、笑みがこぼれる。「鳥肌が立ちました。気持ちいいですね!」。プロ初となった巨人戦登板で9回を3安打に抑え、プロ初の完封勝利を挙げた。
「最後、力が入って今まで低めにいっていたのが高めに浮いてしまったんですけど。原口がうまくボールを配球で操ってくれて、なんとか抑えることができました」
右打者8人を並べたG打線に真っ向勝負。内角に鋭く食い込むカットボールと、外に落ちるチェンジアップを投げ分けて的を絞らせない。五回、六回はいずれも走者を背負いながら、最後の打者を見逃し三振に仕留める。七回を抑え、ベンチに戻ると香田投手コーチから「このままいくぞ!」と声をかけられ、さらにギアが入った。
94年5月24日の藪恵市以来、22年ぶりとなる巨人戦初登板完封勝利。東京ドームでのスミ1完封は92年8月23日以来、24年ぶり2回目。金本監督は、手放しに褒めたたえた。
「投げっぷりの良さというか、落ち着きもありましたし、今日は岩貞の試合です。『ありがとう』、『おめでとう』と。言葉がいっぱいありすぎて見つからない。打たれても悔いはなかったです」
飛躍のきっかけは、台湾にあった。昨年12月のアジア・ウインターリーグ。入来投手コーチ(現ソフトバンク2軍投手コーチ)から声を掛けられた。
「10割で投げるより、8割で打者を見ながら余裕を持って投げてみたら?」
制球難に苦しんできたプロ2年間は、コースを突くことを念頭に投球してきた。しかし、この言葉を聞いて「ファウルを打たせれば、カウントをどんどん取れることに気づいたんです」と左腕。アバウトに、真ん中付近に思いっきり腕を振って投じる。同ウインターリーグでは5試合で2勝0敗、防御率0・53、リーグトップの27奪三振。最優秀投手賞という勲章が、岩貞に自信と勇気を与えた。
「小さい頃から巨人戦の中継は見ていました。一番憧れていたのは高橋監督。そんなチームに投げられて、良かったと思います」
チームは勝率を5割に戻し、再び3位に浮上。伝統の一戦を投げ抜いた岩貞の力投が、猛虎を奮い立たせる。