藤浪、病院直行 四回右手に打球直撃
「交流戦、ロッテ7-2阪神」(9日、QVCマリンフィールド)
阪神・藤浪晋太郎投手(22)が四回、清田の痛烈な打球を右手に受けて緊急降板した。二回までに4失点し、三回に立ち直りの兆しを見せた矢先のアクシデントで、試合中に千葉市内の病院へ直行した。五回の守備では原口文仁捕手(24)も左手親指を負傷。今季2度目の同一カード3連敗で今季初の4連敗。借金は最多の3に膨れ上がった。
さあ、ここから猛虎の反撃が始まる。2点差に迫り、その機運が高まった直後の四回に、悪夢は起こった。無死一塁から清田の放った強烈なライナーが、藤浪の右手を直撃。右手親指の辺りを押さえ立ち尽くし、トレーナーとともにベンチ裏へ下がると、マウンドには戻ってこなかった。
「骨は大丈夫。内出血があったので投げさせるわけにはいかなかった」と説明した金本監督。藤浪は試合途中にトレーナーを伴いタクシーへ乗り込むと、そのまま千葉市内の病院へ検査に向かった。
千葉を覆う低い雨雲と同様、猛虎にも暗雲が垂れ込めていた。連敗脱出の期待を込めて送り出された藤浪。だが、前回2日の楽天戦で1安打完封を成し遂げた投球とは別人のように、立ち上がりから投球が乱れた。
初回、先頭の加藤に151キロの直球を右前に運ばれると、高浜の詰まった当たりが中前に落ち一、三塁。角中の5球目、外角高めに抜けた球が捕逸となり先制点を献上すると、なおも角中の右前打で2点目を失った。
右腕の乱調は二回も続いた。1死から鈴木に右中間への二塁打を許して危機を招くと、田村、加藤の2本の適時打を浴びて2点を追加された。四回に味方が鳥谷からの3連打などで2点を返した直後、無念の降板劇が待っていた。
3回1/3を4失点KOは予想外の展開。金本監督も「前回が良かったから同じような内容を期待してしまったけど、ちょっとリズムをつかめなかったかな」と振り返った。
悔しさは藤浪も同じだろう。前日には勢いに乗ると手がつけられないロッテ打線に対して「チームカラー的にそういうイメージがある。勢いづかせないようにしたい」と話すなど、十分に警戒した上でのマウンドだった。
加えて、前回の完封も踏まえ「続けていくことに意味がある」と今回の登板の重要性も自覚していた。それでも待っていた惨劇。無念の降板。若きエースのショックは小さくない。
今後の登板について、香田投手コーチは「明日以降の様子を見てからということになると思う」と話した。これでチームは4連敗。立ち止まっているいとまはない。大きなショックを振り切り、次の勝利を目指していく。