球児、逆転悲弾 連敗ストップ寸前…
「交流戦、日本ハム5-4阪神」(10日、札幌ドーム)
頼みの阪神・藤川球児でも勝利で締めることができなかった。1点リードで迎えた九回裏無死一塁。カウント1-2からレアードに投じた4球目。134キロフォークを打ち上げられた瞬間、札幌ドームに悲鳴と歓喜が交錯した。高々と舞い上がった白球は虎党の願いも届かず、左翼席に吸い込まれた。
今季6度目のサヨナラ負け。藤川のサヨナラ被弾は2011年8月3日・巨人戦(東京ドーム)で古城に浴びて以来、通算4本目。連敗脱出まであとアウト3つだったが、悲劇の結末が待っていた。
チームは4連敗中とあって、3タテを食らった千葉でのロッテ3連戦は出番がなかった。5日・西武戦(甲子園)以来、中4日での登板。場内に「ピッチャー・藤川」がアナウンスされると、札幌では2012年以来4年ぶりの登場に右翼席を黄色に染めた虎党から大歓声が沸き起こった。そして、勝利を確信していた。
しかし、先頭の田中賢に遊撃内野安打で出塁を許す。続くレアードにまさかの被弾。初球149キロボール、2球目148キロ見逃しストライク、3球目148キロファウル。得意の直球で追い込み、初めて投じた変化球を捉えられた。
試合後の藤川は「やられましたね。申し訳ないです」と一語一語かみ締めるように悪夢を振り返った。直球を多投した配球には「バッテリーでのことなので。自分の選択肢の一つでもありますから」と答えた。
マテオ不在の間の勝利の方程式が定まらない。それでも、金本監督は「打たれたのはしょうがないからね」、香田投手コーチも「最後のところだけでしょう。最後の決め球を詰めのところでの失投ですね」と責めることはなかった。今季ワーストの5連敗で借金は4。正念場は続くが、現有戦力で現状を打破していくしかない。