相性いいマツダで再ダッシュを!
阪神は7勝11敗で終えた交流戦。週末のカード(ソフトバンク、日本ハム、西武)にすべて1勝2敗で、平日のカードでは楽天、オリックスには2勝1敗だったのですが、ロッテに3連敗。これは大誤算でした。
交流戦において特にゴメスの不調は深刻で、OPSが0・564、本塁打0と、主砲としての役割を果たせませんでした。球団別で見ると、パ・リーグでもセイバーメトリクスを駆使する楽天、日本ハム、そしてソフトバンクといったチームに徹底的に攻略されてしまいました。
ソフトバンクの「データ采配」が交流戦で見受けられました。14日のヤクルト戦で左投手の村中に対して、代打として左打者の長谷川を送ったのです。村中の対左への被打率が・317と高く、長谷川の対左打率が・310というデータを見越しての起用だったのでしょう。
ゴメスがソフトバンク戦で6打席連続で三振を取られたのも、相手の投手力だけでなく、データ解析によって完全攻略されてしまった結果なのかもしれません。このように普段から全球団をデータで分析できているパ・リーグの姿勢が、交流戦7年連続勝ち越し、さらには21世紀の日本シリーズでパの10勝5敗という成績につながったのでしょう。
24日からリーグ戦が再開します。最初のカードは7・5ゲーム差で首位を走る広島。交流戦最後の2カードで6連勝を飾った勢いのある状態での対戦となります。
初戦の先発予想は、今季初対戦となるジョンソン。ここまでQS率100%、マツダスタジアムでの防御率1・12、WHIPが0・89というエースを打ち崩すのは至難-かもしれません。
それを打開するためには、交流戦では苦労したものの、マツダスタジアムでのOPSが1・390という高山の打棒復活に期待がかかります。また同じく交流戦不振だった鳥谷、ゴメスも、マツダでのOPSがそれぞれ1・107、1・167と相性の良さを見せています。
まずはオールスターまでのすべてのカード勝ち越しを目標に、夏場反攻に向けての素地作りに励んでみてはいかがでしょうか。(統計学者)
◆OPS=出塁率と長打率を足し合わせた数値。0・76以上が「良い」という評価。
◆WHIP=1イニングあたりに許した走者の数。
※数値は鳥越調べ。6月21日現在
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鳥越規央(とりごえ・のりお)統計学者。大分県中津市出身、46歳。野球統計学(セイバーメトリクス)を駆使した著書は『本当は強い阪神タイガース』(筑摩書房)『勝てる野球の統計学』(岩波書店)など多数。所属学会はアメリカ野球学会、日本統計学会など。JAPAN MENSA会員。