球児救援3度目失敗…金本監督は責めず
「広島4-2阪神」(24日、マツダスタジアム)
リーグ戦再開初戦を勝利で飾ることはできなかった。2-2の八回、阪神の2番手・藤川球児投手(35)が2死一、二塁から代打・新井に決勝の勝ち越し2点三塁打を浴びた。4試合連続無失点と安定していた球児だったが、これで今季3度目の救援失敗。チームは5位へと転落した。
呆然(ぼうぜん)と打球の行方を目で追い、その場に立ち尽くした。「高めに投げたボールだったので…」。大粒の雨とともに、白星までもが流れ落ちていく。2-2で迎えた八回2死一、二塁。藤川が、代打・新井に右中間へ勝ち越しの2点三塁打を許した。
7回2失点の先発・藤浪からバトンを受け継いだ八回。先頭のルナに中前へ運ばれ、代走・赤松がすかさず二盗。1死後、松山を敬遠。安部は三邪飛に仕留めたが、新井に高め145キロ直球を捉えられた。自慢の真っすぐを、一番大事な勝負どころではじき返された。
名球会入りした元同僚には、通算20打数7安打、打率・350と打ち込まれていた。これで10日・日本ハム戦(札幌ドーム)でレアードにサヨナラ2ランを浴びて以来、今季3度目の救援失敗。4試合連続無失点と上昇気流に乗ったかと思われたが、防御率5・45と再び負の数字がふくらんだ。勝利の方程式が崩れれば、敗戦という現実が待っている。
それでも、金本監督は「最後勝負にいって、高めの球児の一番いいところを打たれたわけだから…」とかばった。この日投じた32球の中で、7割以上が力強く腕を振った直球。火の玉ストレートの復活はまだ道半ばだが、20日・オリックス戦で150キロを計測するなど確実にその威力は増している。捕手・梅野の左手には、ズシリと重い感触が残る。
「先発の時とは違う感じがします。ボールに強さを感じるというか、あの時に戻ってきているような感じがあるような気がします」
幼い頃、テレビ越しに見ていた火の玉直球。縦じまの捕手となり18・44メートル離れた場所にいる今、同じ“感覚”を体全体で感じている。この日も、真っすぐがベストボールだったのだろう。指揮官が言うように、最も自信のある球を打たれたのであれば、これ以上責めることはできない。
球団は救援陣の駒不足を解消するため、エンゼルス傘下3Aソルトレークからサターホワイトを獲得。早ければ、28日の箕島球友会との練習試合(鳴尾浜)で実戦デビューする見通しだ。リリーフ陣の不安は、後半戦へ向け大きなマイナス要素となる。藤川は「また明日から頑張ります」と言葉を振り絞り球場を後にした。その前向きな言葉を信じ、戦っていくしかない。