西岡が手本!指揮官絶賛あきらめない姿
「阪神5-3DeNA」(28日、甲子園球場)
連敗を止めた。阪神・西岡剛内野手(31)が抜群の状況判断と足で負の流れを断った。背番号7が示した勝利への執念を金本知憲監督(48)も絶賛。聖地でもぎ取ったリーグ戦再開後の初勝利。首位・広島の背中は遠くても、絶対にあきらめない。反撃はここからや-。
もう「手抜きの神様」とは言わない。連敗を3でストップし、久々に穏やかな表情を見せた金本監督がゲームの焦点として振り返ったのは、得点シーンではない。西岡のスーパーな走塁を逆襲のキーワードに挙げた。
「剛がああいう走塁をしてくれてね。あの回、得点にはならなかったけれど、点を取って剛のタッチアップを生かしてやらないといけない。ほかの選手も感じ取ってほしい」
二回先頭、四球で出塁した西岡が続く中谷の一邪飛で果敢に走った。飛球を追った一塁・宮崎がカメラマン席に突っ込みそうになりながら捕球すると、何食わぬ顔で帰塁した背番号7は二塁へゴー。間一髪ながら二進を決め、1死二塁の好機を演出した。
この積極性にベンチ奥の指揮官はニヤリ。2月の沖縄キャンプ中「あいつはサボリ大魔王。手抜きの神様」とイジり倒した31歳を頼もしそうに見つめた。
「マツダスタジアムで広島の選手が隙あらばどんどん走ってきた。ああいうことで勢いはつく。それを見せつけられたわけだから…。剛もそれを感じ取ったのか、あいつはそういうところを常に狙っている。そういうものを生かしていければ、また違った雰囲気が出てくる思う」
前カード、リーグ戦再開の広島戦で悪夢を見た。3連敗を喫し、首位と10・5差。借金は7まで膨らみ、逆転優勝へのデッドラインに近づいた。力の差。勢いの差…ただそこには、したたかに足を絡める伝統的な広島野球の復活が「堅首」の源になっている、とも感じた。金本監督が主眼に置くのは敗戦の理由よりも、虎が目指すべき野球を堅実に実践する鯉ナインの姿に、選手たちが何を感じ取るか、だ。
西岡のタッチアップで作った好機に北條も安打で続いたが、一、三塁から岡崎が(三塁走者もスタートを切る)スクイズエンドランを失敗。この回無得点に終わったことを何よりも悔やんだ。
三回には左越え適時二塁打を放った西岡だが、「七回裏にセーフティー(バント)を失敗したので全部帳消し」と、ぶ然とした表情で引き揚げた。指揮官はこの発言を聞いてこそいないが、そんな姿勢こそお手本だと言いたい。
「全然、あきらめていない。こんなに悪いことってあり得ないくらいのプレーが…(出ている)。アンラッキーがね…。運がたまっていると思うので…逆に潮目というか…いいことばかり続かないと思うけど、絶対にいい流れはくる」
逆襲へ、目指す野球を再確認する夜になった。