球児150キロまた出た!筒香斬った
「阪神5-3DeNA」(28日、甲子園球場)
一球一球投げるごとにフーッと息を吹いた。そして超えた。スコアボードに輝く150の数字。雨の降り注ぐ甲子園で、阪神・藤川球児投手が全力で腕を振った。
「それ(150キロ)は知らない。特にないよ。また明日切り替えて頑張ります」。口数少なく、余韻に浸ることはない。勝利のハイタッチを終え、クラブハウスへと引き揚げる際、視線は未来に向いていた。
2点リードで迎えた八回2死一、三塁。一発逆転の場面で筒香に投じた初球だった。内角低めへ投じた“魂”が、20日・オリックス戦(甲子園)以来の大台を記録。最後は147キロ直球で見逃し三振に斬り捨てた。
2死からゴメスの捕球ミスなどでピンチを背負っていたが、焦りはなかった。「最初に大和が助けてくれたし、チームで助け合っていきたい」。ファインプレーを見せた後輩に感謝しつつ、一体感を強調した。
甲子園はわが庭だ。10試合にリリーフ登板し、防御率0・00。大声援と黄色いメガホンが揺れるスタンドが力を与える。5敗目を喫した24日・広島戦(マツダ)の悪夢は、勝利を彩る雨とともにぬぐい去った。藤川の球道が、またここから始まった。