虎スカウト北海道150キロ左腕に集結
「高校野球・北北海道大会 十勝支部予選Bブロック2回戦、江陵6─1帯広大谷」(29日、帯広の森)
“虎の恋人候補”は北にいた。江陵の最速150キロ左腕・古谷優人投手(3年)が29日、北北海道大会十勝支部予選2回戦で大会初登板し、1失点完投でチームを支部代表決定戦に導いた。ネット裏には11球団のスカウトが集結。阪神は佐野統括スカウトら5人態勢で視察し、ドラフト候補として「3位では残ってない」と高評価した。
ネット裏のスカウト陣が、一斉にスピードガンを構えた。11球団約40人の視線を独り占めにしたのは、北の快腕・古谷だ。4安打1失点完投でシード校の帯広大谷を撃破。今夏初登板で潜在能力を十分に示した。
直球は最速149キロを計測。制球に苦しみ、奪三振は5個と少なめだったが、比較的安定していたスライダーを軸に組み立てる対応力も見せた。ブルペンで悪かったチェンジアップは封印。「今日は60点ぐらい」という状態で強打の相手を封じ「球種を投げずに抑えられたのは自信になる」と、うなずいた。
父はばんえい競馬の元騎手で、ロッテ・古谷は親戚。176センチ、76キロと大柄でなくとも150キロの速球を投げ込める、生まれ持った体の強さがある。
猛虎にとっても、もちろん魅力的な存在だ。高校生左腕は、今秋ドラフトの優先ポイントの一つ。担当の葛西スカウトは「能力はすごい。筋力の質を持っている。直球の腕の振りは今中(元中日)のよう」と話し「3位では残っていないでしょう」と高評価した。
失点は味方の失策によるもので自責はゼロ。打っても3安打1打点で、先制、勝ち越し、ダメ押しに絡んだ。スカウトからの熱視線にも「意識はしていない。自分の目標はこのチーム53人全員で甲子園に行くこと」と、主将の責任感をのぞかせた古谷。その左腕で母校を初の聖地に導く。