北條激走!意地マルチ 久保康に一矢
「阪神0-3DeNA」(30日、甲子園球場)
意地を見せたのは4年目の若虎だ。散発3安打と沈黙した猛虎打線の中で、唯一のマルチ安打を記録。阪神・北條が、DeNAの先発・久保康に一矢報いた。
「1打席目が3球で簡単に終わってしまったので、低めを絶対に振らないという気持ちで打席に入りました」
六回の先頭。変化球をバットに乗せ、三遊間最深部に転がした。「遊撃が捕ったのを見たので。僕、足が遅いですし」。全速力で一塁へと走り、最後はヘッドスライディング。この日、チーム初安打となる内野安打をもぎ取った。
八回1死では、外角球を逆らわずに右前打。「追い込まれていましたし、開かずに打ちにいきました」と左肩の開きを抑え、快音を奏でた。三塁の守備でも難しいバウンドを前に出て処理し、安定した動きを見せた。
9試合連続スタメン起用に応える働きは、波に乗れないチームにとって一筋の光だ。入団当初、2軍監督として北條の指導に当たった平田チーフ兼守備走塁コーチは「良くなってるよ。でも、まだまだ。あいつは褒めるとダメだからな」とさらなる奮起に期待する。
強化指定選手として過ごした鳴尾浜での3年間を経て、今や1軍の戦力。成長を止めてはいけない。若武者の躍進が、チームに新たな風を吹かせている。