原口、初球宴も矢野コーチ「練習せなアカンやろ」
日本野球機構(NPB)が4日、マツダオールスターゲーム2016(第1戦=7月15日・ヤフオクドーム、第2戦=同16日・横浜)の監督推薦選手を発表し、阪神・原口文仁捕手(24)が育成選手契約の経験がある捕手として初選出された。原口はこの日、今季初めて行われた野手指名練習に参加。球宴での本塁打を誓う一方で、最下位に沈むチームを浮上させるべく、神宮外苑で大粒の汗を流しバットを振り込んだ。
晴れ舞台への切符を手にしたこの日、原口は神宮外苑にいた。前日の試合後に決まった今季初となる野手の指名練習。蒸し風呂と化した室内練習場で、約2時間汗を流した。監督推薦での選出が決まった球宴は、育成選手経験がある捕手として初の快挙。だが、あふれんばかりの喜びは心の中にしまい込んだ。今は、ただひたすらに練習するしかない。
「日々新たに、そういう気持ちでやっていきたいと思っています。勝ちに向かってやっていきます」
スタメンマスクの試合は5連敗中。盗塁阻止率・225はリーグ7位で、課題は浮き彫りになっている。3日・中日戦の三回は先頭の大島を空振り三振に仕留めたが、ワンバウンドを後逸(記録は暴投)した。出塁を許した後に岩貞はリズムを崩し、この回5失点。「サダ(岩貞)にも、チームにも申し訳ないです…」。チームが単独最下位に転落した屈辱を胸に迎えた4日の朝。すぐさま、背番号94のユニホームに袖を通した。
矢野作戦兼バッテリーコーチは「練習せなアカンやろ!貢献していることより、迷惑を掛けていることの方が多い」とゲキを飛ばした。約1時間半のフリー打撃では岡崎、梅野と並んで原口も一心不乱にバットを振り込んだ。前に進むためには、練習しかなかった。
ここまで出場48試合で打率・338、6本塁打、21打点。5月は育成選手経験がある野手として、史上初の月間MVPにも輝いた。そしてこの日、監督推薦による球宴出場が決定。「まず驚きと、うれしさでいっぱいですね」と話す会見場での原口は、まるで野球少年のような屈託のない笑顔だった。
「狙って打てるわけではないですけど、自分のスイングをした結果が、いい結果になればいいと思います」
目標は、育成契約を経験した選手では初となる本塁打。「小さい頃からスター選手がプレーしているのを見てきましたし、楽しみ」。新庄のホームスチール、藤川のオール直球勝負に心を躍らせていた少年時代がよみがえる。支えてくれた方々、応援し続けてくれる虎ファンへ、今度は夢を与えたい。
その前にまず、捕手として中軸としてチームを浮上させること。オールスター出場が決まった記念すべき日、原口は原点に立ち返った。