虎にはある?広島・鈴木の気持ちの強さ
「神ってる」。そんなフレーズで一躍全国区になった鈴木誠也とはどんな男だろうか。東京・二松学舍大附高時代は投手で甲子園を目指したが、3年間夢はかなわず、プロの扉をたたいた。今年4年目だから藤浪晋太郎と同い年。年俸は1700万でレギュラー1年目。高校球界の大スター藤浪については「今でも雲の上の存在です」と、鈴木は話す。
今季から広島の1軍打撃コーチを担当する東出輝裕に聞いてみた。「あいつの気持ちの強さはすごい。表現は悪いけど、打てずにベンチに戻ってきたときの誠也には殺気を感じる。僕も近寄れないくらいだから。それほど悔しがってますよ」
実は一昨年、東出は予言していた。「誠也を見ていてください。絶対に1軍でレギュラーをとりますから」。確かにその通りになった。では、鈴木は人一倍の「気持ちの強さ」で打てるようになったというのか。僕の質問に東出は笑った。「いくら気持ちが強くても中学生がプロの球は打てないでしょ。もちろん技術は必要。その技術は練習でつけるわけだけど、気持ちが強い選手というのは練習の姿勢からして違うんですよ」。
気持ちや執念は目に見えないもの。技術が備わった打者は気持ちを前面に出せば結果が伴うのか。若い選手ほど気負うのでは?とも思い、前カード、伝統の一戦で巨人1軍打撃コーチ、江藤智に聞いてみた。「例えば自分より格上の投手がきたとき、きょうは打てないかも…と弱気になるような選手は使いたくないな。どんな一流投手でも必ず失投するだろ?気持ちを強く持っていたら、相手の弱みが出たときに勝てることがあるんだよ。だから、同じ技量なら気持ちの強い選手を使いたくなるよね」。広島時代、2度の本塁打王に輝いた江藤は経験を交えて教えてくれた。
6日の巨人戦。初回の攻撃が金本知憲の目には淡泊に映り、就任以来最も強い口調で奮起をうながした。早々と二回に円陣を組み「初回から全打席、九回2死満塁のつもりでいけ」と猛ゲキを飛ばしたわけだが、その効果はあったのだろうか…。
広島に6連敗を喫した夜、金本は核心に触れた。「そういう(やり返そうという)気持ちが伝わってくる選手もいれば、正直、伝わってこない選手もいる」。七回に榎田大樹が鈴木誠也に2ランを浴び、とどめを刺された。前夜も藤浪が鈴木に先制2点打を許し、流れを失った。鈴木はいつも、こう言うそうだ。「バッターボックスに入れば、相手ピッチャーとのケンカだと思っています」-。=敬称略=(阪神担当・吉田 風)
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