阪神・藤川球児投手が２１日、３６歳の誕生日を迎えた。日米通算１０００奪三振へ残り４つに迫る中での記念すべき日だが、前日の巨人戦（甲子園）で西岡が左アキレス腱を断裂したこともあり、神妙な表情。背番号７の思いを背負って、後半戦を戦い抜くことを誓った。

　節目の日にはっきりと宣言した。「記録はどうでもいいよ。興味がないから」。日米通算１０００奪三振まで残り４つ。しかし、藤川が見据える先はチームの勝利のみ。そして自ら切り出した。

　「剛（西岡）がああいうことになったんでね。剛が心配。（今年に）懸けてやっている選手だったから。剛だったり、榎田もケガがあったし」。戦線離脱を余儀なくされたチームメートの心中を察した。

　後半戦は巨人に３タテを食らい、最下位に逆戻り。劣勢の試合展開が続くため、登板機会はまだ訪れない。苦しい状況が続くチーム。自身も開幕当初は先発転向がうまくいかず、リリーフ再転向後も失敗を重ねたことがあるが、胸に抱える熱い思いを語らずにはいられなかった。

　「ああいうのを見て感じる部分があると思う。本当は（出場選手が）若いというだけじゃ済まされない。首脳陣はそういう気持ちで起用しているんだろうけど。僕も含めて、みんなそういう（今年に懸ける）思いでやってるけど、うまく回っていない。そういうときもある。終わったことだから。まだ先があるし」

　この日は広島へ移動。新神戸駅に詰め掛けた大勢のファンに３６歳を迎えた祝福の言葉をもらった。だが「（誕生日おめでとうと）言われるのは好きじゃない。死に近づいているから」といたずらっぽく笑った。

　マツダでは６月２４日に新井に決勝２点適時打を浴び、５敗目を喫した苦い思い出がある。悪夢を拭い去り、首位独走の鯉を釣る。志半ばでグラウンドを離れる仲間の無念を胸に、球児が巻き返しのきっかけを作る。