原口、同点弾&逆転V打!虎を救った3打点
「広島5-8阪神」(24日、マツダスタジアム)
勝負を決めたのは、阪神・原口文仁捕手のバットだった。4-5の六回2死満塁。ヘーゲンズのカットボールをたたきつけた。打球は三塁手の前で大きく跳ね、頭上を越えてそのまま左翼の芝を転々。2走者が生還し、逆転に成功。背番号94は敵地のお立ち台に立った。
「一番集中して(打席に)入りました。ファンの皆さんの応援もあって、ああいう打球になったと思います」
二回の先頭では、中村恭から左翼スタンド後方のコンコースまで運ぶ、推定130メートルの今季8号同点ソロ。三回1死一塁は、中前へはじき返した。6月19日・ソフトバンク戦(甲子園)以来、今季4度目の猛打賞。片岡打撃コーチは「彼の勝負強い打撃がチームを助けてくれている」と最大級の賛辞を送った。
7月6日・巨人戦(東京ドーム)で、憧れの人との直接対決が実現。八回、結果は中飛だった。「たった1球だったんですけど、(スイングの)いい音がしました。練習の時から感じてましたよ。『オーッ』と。やっぱりオーラがありました」。幼い頃から憧れていた、阿部だった。
小学4年の時、母・まち子さんと自宅近くのデパートに行くと、巨人の選手がトークショーを開催していた。そこでくぎ付けになったのは、背番号10の背中。「大きかったのを覚えています」。幼心にプロ野球を目指す志が芽生える。捕手にこだわる理由も、この日の出会いが大きかった。
そんな夢のような人との再会も、今や宿敵巨人の選手。「(初対戦に)感慨深いものはありました。でも、こういうバッターを抑えていかないとね」。プロを夢見る野球少年は、虎の正妻を目指す24歳の若武者になった。
「負けてばっかりじゃ悔しいんで。そういう気持ちを、全員で出せたことがよかったと思います」
5連敗と沈むチームを救ったのは、3安打3打点の原口。ここ最近は梅野にスタメンマスクを譲っていたが、その悔しさを白球にぶつけた。「超変革」の申し子が、タイガースを勝利に導いた。