原口 金本以来1イニング5打点!球団新10連打イッキ9点呼んだ
「阪神9-0ヤクルト」(27日、甲子園球場)
超変革打線が、虎の歴史を塗り替えた。阪神は四回に打者14人の猛攻で、球団新記録となる10連続打数安打をマーク。一挙9得点で今季4度目の3連勝を飾った。原口文仁捕手(24)は先制の左越え3ランに左前2点適時打で、2003年の金本知憲以来となる球団タイ記録の1イニング5打点を挙げた。夏本番を迎えて、やっと金本阪神が活気付いてきた。
思いを込めた白球が、浜風に乗りグングン伸びていく。四回無死一、二塁の好機。フルカウントから杉浦のフォークをすくい上げ、原口は一塁へ駆けだした。4万6136人の大観衆が、打球の行方を祈るような目で見つめる。勝ちたいという執念は、届いた。
「(バットの)芯は芯だったんですけど、少しこすっていたので。球場の雰囲気が、一体感がそうさせてくれました。ウル虎の夏、最高ですね!」
左翼席最前列に飛び込む9号先制3ラン。さらに、打者一巡して再び打席に入った1死満塁では、2番手・中島から左翼へ2点タイムリー。自身初、1イニング5打点は03年5月31日・巨人戦(東京ドーム)で、金本知憲が記録して以来の快挙。また、この回はチームとしても球団新記録の10連続打数安打、一挙9得点のビッグイニングになった。
夢のオールスターに出場した2試合、原口は自身の成長のためどん欲に吸収しようとしていた。昨季ゴールデングラブ賞のヤクルト・中村に何度も質問をぶつけた。「毎日試合に出て疲れもあると思うんですけど…」。球宴というお祭りの中、真剣な表情で耳を傾けてくる後輩に、中村も感じるものがあった。
「初めてのオールスターなのに、僕だけじゃなくいろんな選手に話を聞きに行っていたんです。すごいなぁと思いましたね。僕ももちろんそうですが、若い捕手は特に毎日勉強。僕も日々いろいろと経験していますけど、捕手として大事なところというか。原口君は、そういう部分を持っている気がします」
背番号94に「試合が終わった後の気持ちの切り替え方が大切」と伝えたという。予定がなければすぐ宿舎へ帰り、マッサージなどを受けながらリラックスする。「捕手って、負けが続くとどうしても考え込んでしまうんです」。金言を授かり、原口は前を向いた。
この日は能見を好リードで導き、今季初の完封勝利をお膳立て。金本監督は「捕手の力としてもよくやってくれた」と褒め称えた。
今季4度目の3連勝でチームは勢いづき、聖地は再び六甲おろしに包まれた。原口は「ファンの方たちには楽しんでもらって、僕たちは切り替えて明日に向かっていきます」と力を込めた。プロ7年目の大躍進は、まだまだ止まりそうにない。