福留、最年長サイクル安打 ウル虎39歳また偉業「何かのご褒美なのかな」
「阪神8-2中日」(30日、甲子園球場)
阪神の福留孝介外野手(39)が、中日(17)戦でサイクル安打を達成した。中日時代の03年6月にも達成しており、プロ野球史上69度目(64人)、セ・リーグでは35度目(32人)。二回に右越え本塁打、四回に中前打、五回に右中間三塁打、六回に左越え二塁打を放った。39歳3カ月での達成は最年長記録。今季最多4万6803人が駆けつけた甲子園で快勝し、再び4位タイ浮上。ここからまた連勝街道や!
福留らしく一振りで決めた。4点リードの六回2死満塁。逆方向へ打ち返した打球は浜風に乗り、もうひと伸びした。左翼手のグラブをかすめた白球が芝生で弾むと、悠々と二塁到達。「ウル虎の夏」に染まるスタンドへ向けて、サイクル安打達成記念の花束を貫録たっぷりに掲げた。
「捕られるかなあと思ったけど、抜けてくれて良かった。まさかこの年になって、こういうことができるとは思っていなかった。何かのご褒美なのかな」
自身2度目、史上最年長記録に少しだけ頬を緩ませた。今季最多4万6803人が見つめる中、球場のボルテージは最高潮に達し、異様な雰囲気に包まれていた。
「“持っていない”からダメかなと思った」。試合後、そう冗談めかしたが、百戦錬磨の男に重圧はない。打席ではいつも冷静に球種を絞る。この夜も淡々と役割をこなし、塁上を一掃してみせた。ベンチでは金本監督から「お客さんに“ありがとう”とあいさつに行ってこい!」と背中を押され、「福留コール」を全身に浴びた。
快挙への一歩目は、自画自賛の一発だ。二回先頭、吉見の内角スライダーを捉えて、弾丸ライナーで右翼席へ運んだ。これが今季、チーム左打者の甲子園初アーチ。
「うまいこと打てたし、吉見というピッチャーがストライクの四隅を突いてくることは頭に入っていた。高山君より先に打てて良かった」
待望の一発で先制点をもたらすと、四回は142キロを中前へ。五回は143キロを引っ張り、全力疾走で三塁を陥れた。まさに、全盛期をほうふつとさせる4安打だ。
「家族でディズニーランド行ったことあるか?もうヘトヘトやぞ…」
今月中旬の球宴休みは2日間、家族と夢の国を満喫した。グラウンドでは4番に座り、堂々と主役を演じるが、2人の子どもたちの前では脇役に徹する。
「アトラクション?オレは乗らない。横に立って見てるだけ!」
メリーゴーランドは子どもが落ちないように隣で支え、ミッキーマウスを見つけるとカメラでパシャリ。一日中、歩き回ると疲労困ぱい…。子どもたちが寝静まってから至福の時間だ。コンビニで購入した缶ビールとおつまみで静かに疲れを癒やした。
大量のお土産の中、自分のものは子どもにせがまれて買った「ポテトヘッド」のスマホケースだけ。派手で目立つが「子どもがこれを見て絵を描くんだ」と大事に使っている。
「記録を作るためにやっているわけではない。たまたま。でも悪いことじゃない」
2000安打を達成したメモリアルシーズン。4打数4安打で打率・325まで上昇した。夏場の反攻へ主役は福留しかいない。