阪神、反攻へ カギは“FM”が握る 藤川&マテオがWストッパー

 超変革のスローガンのもと、かじを切った金本阪神。2日現在、借金9。首位・広島とは15ゲーム差を付けられている。

 ここからの巻き返しへ、私は藤川球児投手(36)とマルコス・マテオ投手(32)がキープレーヤーになってくると思う。両投手はラファエル・ドリス投手(28)が右肘炎症で戦線離脱したことで、「ダブル・ストッパー」に任命された。

 まずは、今季4年ぶりに縦じまに袖を通した藤川。「パレードがしたい」-。猛虎日本一の夢をかなえるため、復帰した。開幕当初、任されたのはスターター。かつての主戦場とは異なる役割に、昨年11月下旬に鳴尾浜で自主トレを開始し、キャンプ、オープン戦と入念に調整を進めてきた。

 しかしシーズンが始まると、5試合の先発で1勝2敗、防御率6・12。イニングを重ねるごとに球威が落ちてくるのは明らかで、スタミナ不足を露呈していた。そこから中継ぎに転向。5月18日・中日戦(甲子園)で1341日ぶりのセーブを挙げると、失敗もありながら改善していった。

 9試合に登板した7月は防御率0・00。甲子園での中継ぎ登板も、いまだに無失点を誇る。先発時代は140キロ中盤止まりだった球速も最速151キロにまで復活。7月26日・ヤクルト戦(甲子園)では日米通算1000奪三振を達成した。

 「スピードで喜ぶのはファンとメディアだけ」。球速ではなく、抑えられるボールを投げることにこだわりを見せるが、球威は目に見えて戻ってきている。

 一方のマテオ。開幕時はクローザーを任され、11セーブを挙げた。だが、5月15日・DeNA戦(横浜)から5試合連続失点と精彩を欠くと、5月28日に右肩関節炎で出場選手登録を抹消された。

 だが故障が癒え、6月14日に再昇格を果たしてからは、無失点を継続中。150キロを超える伸びのある直球と切れ味鋭いスライダーが牙をむいている。

 2月の沖縄キャンプ中の練習試合。初めて見たときは衝撃の一言だった。テレビゲームのように曲がるスライダー。「絶対打てんやん…」。思わず心の中でつぶやいた。あのときのようなキレは確実に復活してきている。

 2005年に阪神がリーグ優勝したときは盤石の「JFK」がいた。それから11年。今は「FM」が支える。彼らの活躍なくして、上昇は望めないだろう。(デイリースポーツ・山本祐大)

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