福留、先制弾&マルチで打率・326 首位打者も射程
「DeNA5-7阪神」(4日、横浜スタジアム)
全盛期をほうふつとさせる放物線だ。前夜に続いて、阪神・福留がゲームを動かした。初回、2死一塁。勝負師がこんな好機を逃すはずがない。ペトリックの141キロを捉えると、ライナーで右翼スタンドへ突き刺した。
「若いピッチャーが投げていたし、何とかしたいと思っていた。何が来てもいいようにコンパクトに。いい角度で上がってくれた」
とにかく勝負強い。納得の6号2ランで先制すると、四回第2打席は左前へ。早々とマルチ安打を達成した。夏場を迎えてベテランが絶好調だ。最近5試合は15打数8安打2本塁打9打点、打率・533。この日も4打数2安打1四球。打率・326まで上昇させ、広島・新井を抜いた。トップの巨人・坂本までも1分差。首位打者のタイトル獲得も射程圏に捉えた。
今年1月下旬、福留は「やっぱり何か一番上に立ちたいという思いを持ってやらないと、何もいいことは生まれないと思う」と堂々とタイトル獲得を宣言した。今季は日米通算2000安打に加え、自身2度目のサイクル安打を達成したメモリアルシーズン。史上最年長首位打者の誕生も現実味を帯びてくる。
試合前にはうれしいニュースが飛び込んできた。野球、ソフトボールが20年の東京五輪の追加種目に決定。96年アトランタ、04年のアテネ大会に出場した福留は「日本の野球界にとって大きいこと。盛り上がるし、ソフトボールにとってもね」と大歓迎。WBCを含めると4度、国際大会に出場。日の丸の重みは人一倍知っている。
「野球をやっている人全員ができるかというと、そうではない。限られた人だけができる。本当に貴重な経験だったし、自分にとっても生きている」
4年後は43歳。自身3度目の五輪出場は、「無理だね」と苦笑いしたが、タイトル獲得となれば代表復帰の声も聞こえてきそうだ。
「最後まで諦めず、こういう試合をチーム全体でできるようになってきた。1試合だけじゃなく、続けていけるようにしたいね」
最後はベテランらしい言葉で締めくくった。3位DeNAに勝ち越し、チームは勢いに乗りつつある。その中心を福留ががっちりと支えている。