球児が締めた3S!3四球などで2死満塁危機も最後は新井斬り
「広島1-2阪神」(10日、マツダスタジアム)
安堵感を交えながら浮かべた笑顔が、演じた勝負の意味の大きさを物語っていた。渾身の直球で最後のマウンドを守りきった。阪神・藤川球児投手が絶体絶命のピンチからシビれる新井斬りだ。
最高潮に達していた鯉ファンのボルテージ。サヨナラの機運が高まっていた。それとは相反して藤川の表情は冷静。1点リードで迎えた九回だ。1死から制球が乱れての3四球などで2死満塁の大ピンチを招いた。打席に迎えたのは、これまで虎投を苦しめてきた新井だ。
選んだのは全てストレートでの真っ向勝負。初球に149キロを投げ込むのを合図にアクセル全開。カウント2ボール1ストライクからの4球目。高めに投じた渾身のボールで新井を右飛に。敵地・マツダでの鯉倒を決定づける快投で今季3S目。6月1日の楽天戦以来となるセーブ、これからの反攻へ大きな勢いをもたらすものだ。
グラウンドでも虎投を支える。この日も自分の前を投げたマテオらに気軽に話しかけるなど、積極的にコミュニケーションを取り空気を和らげた。藤川の周囲を見られる目が中継ぎ陣の結束をより固いものにしている。
まずは一つ借りを返した。「たまたまなので。体力を養ってまた頑張ります」。まだまだ、上位叩きは終わらない。