藤浪“魔ツダ”で4連敗 七回どエラ~い悪送球

 「広島5-3阪神」(11日、マツダスタジアム)

 ミスで自らの首を絞めた。阪神・藤浪晋太郎投手(22)が2点リードの七回、適時失策となる一塁悪送球でピンチを広げ、マウロ・ゴメス内野手(31)も逆転を許す本塁悪送球を連ねた。7回5失点で自己ワーストタイの8敗目。勝利への歩みが突然、敗北への落とし穴にはまり、2カード連続の負け越しとなった。

 がっくりと肩を落とし、うつむき加減に三塁ベンチへ歩を進めた。3-1で迎えた七回。自身の悪送球から、大暗転劇が待っていた。「自分のつまらないミスで負けてしまって、申し訳ないです」。自己ワーストタイの8敗目。中5日で上がったマウンドに藤浪が沈んだ。

 3万1262人の大観衆が背番号19の背中を見つめる。連打を許し、無死一、二塁となったところで会沢はバントの構え。高いバウンドになった打球を捕球しようとしたが、差し出したグラブにボールは収まりきらない。

 「芝なので、もちろん頭には入れていたんですけど…。思っていたより跳ねました」

 焦って一塁へ投げたが、送球はベースのはるか上を通過する大暴投。あっさり2点目を献上した。さらに、ゴメスの悪送球で逆転され、丸の中犠飛でダメ押しの5点目。何度も汗を拭い、深呼吸を繰り返した。だが、既に手遅れだった。

 二回、松山に先制の本塁打を浴びたが、粘り強い投球で鯉打線に向かっていった。3四球と制球は不安定だったが「ボール自体も、内容も良かったと思います」と振り返る通り、150キロ超の真っすぐには威力があった。それだけに、ミスが重くのしかかる。金本監督も、藤浪の悪送球に苦言を呈した。

 「投内連係のスローとか。もともとは苦手ではないんだから、普段から実戦を想定した練習を意識を持ってやらないといけないね」

 香田投手コーチは「(送球は)彼の苦手な部分だから」と、現状はマイナスイメージを持っていることを指摘。自身の真正面に来た投ゴロなど、本来は上から投げるところを一塁ベースへ走りながら、下からトスをする場面も多く見受けられる。課題のショートスローは、勝敗をも左右する大きなプレーの一つ。超一流のピッチャーを目指す藤浪にとっては、確実に克服しなければいけない壁だ。

 7回5安打5失点で無念の降板。中5日で鯉斬りを託された右腕は「勝ちたかったです」と悔しさを押し殺すように言葉を紡いだ。5日・ヤクルト戦(神宮)からの連勝も夢と消え、チームも2カード連続負け越し。やはり藤浪の完全復調なくして、上昇曲線は描けない。

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