初回イッキ5点、虎先発全員安打 苦手の井納をつるべ打ち
「DeNA3-9阪神」(23日、横浜スタジアム)
苦手右腕に対して、阪神がチーム一丸で牙をむいて襲い掛かった。井納の立ち上がりを攻め立て、打者11人で6安打5得点。初回の5得点は今季117試合目で初。7得点した14年7月1日・ヤクルト戦(倉敷)以来、2年ぶりの速攻劇に黄色に染まった敵地の左翼席は歓喜に沸き続けた。
初球の直球を捉えた1番・上本の左前打が号砲だった。1死後に高山が右前打、4番・福留は四球。1死満塁から原口、中谷が連続適時打。さらに今成の左犠飛、坂本の適時二塁打と止まらない。9番・能見まで投手強襲安打で出塁した。虎党が奏でるチャンステーマと六甲おろしの大合唱が横浜の夜空に交互に響き渡った。
試合後の金本監督は「(初回1番の)上本が初球からパンといってくれたのが大きかった。高山が初球を打って、立ち上がりの攻め方としては理想的。一気に追い込んだという感じはしました」と絵に描いたような攻撃に納得の表情だった。
今季の井納に対しては防御率0点台と苦戦していた。前日22日には当の本人に「阪神打線はそこまでいいというわけじゃない。僕はそれよりいいカープの打線を抑えている」との強気発言まで浴びせられたが、初回から強烈な先制パンチを浴びせた。二回、三回も2点ずつを加え、序盤3回で9得点と完全攻略で見返した。
大量リードに1安打2四球1打点の福留は三回裏の守備からベンチに下がった。試合前に打線の援護の必要性を訴えていたベテランは「1試合だけでなく、これからそれを続けていけるようにやらないといけない」と気を引き締めた。この夜の井納攻略にも「少しでも相手に嫌な印象を与えるのはいいこと」と今後への効果を口にした。
六回、今成の中前打で7月24日・広島戦(マツダ)以来となる今季2度目の先発全員安打で快勝。片岡打撃コーチは「井納に対しては分がよくなかったが、皆が積極的にそれを打ち損じず、上本にしても高山にしてもしっかり捉えてくれた」と勝負どころでの打線のつながりを称賛。CS進出を争うDeNAとの直接対決は残り8試合。チーム一丸で井納をKOした価値ある1勝だ。