高山、56打点 田淵に並んだ! 天敵G菅野からチーム初適時打
「阪神2-4巨人」(6日、甲子園球場)
敗戦後、ベンチ裏からクラブハウスにつながる階段を足早に上がった。笑顔はない。負けたことに悔しさが残った。それでも、だ。あの瞬間、甲子園は確かに大歓声に包まれた。その中心に阪神のドラフト1位ルーキー・高山俊外野手(明大)がいた。仕留めた一打の価値は色あせない。
「(突破口となった一打だったと思うがと問われ)それはそう思います。良かったと思います」
結果的に、悔やまれる内容での敗戦。ただ、意味のある追撃の一打だった。五回だ。巡ってきた流れはムダにしない。2死からの北條と上本の連打で一、二塁のチャンス。菅野に対して、そこまでの2打席は空振り三振と二ゴロ。それでも気持ちは前を向いていた。
「チャンスだったので、いいボールが来たら積極的に打ちにいこうと思って、打席に入りました」
期待の声援を受けながら、鋭く反応したのは菅野が投じた初球のシュート。逆らうことなくはじき返すと、打球はライナーで左前に落ちる適時打に。2点差に迫っただけでなく、続く福留の右前適時打も呼び込む形となった一振りだ。
「ランナーをかえすバッティングができてよかったです」と高山。今季、ここまでチームとして菅野に3戦1勝1敗という成績だったが、対戦防御率は0・00と、この試合まで24イニング自責点0に抑え込まれていた。頼れるルーキーの一打が、チームにとって今季の菅野に対する初の適時打となった。
この試合、自身唯一となった得点圏での打席を生かし、得点圏打率は・396とリーグトップ。さらに球団の新人記録でも、また一歩進む結果に。この日の適時打で、田淵幸一氏に並ぶ球団新人2位タイとなる56打点に。さらに安打数は120となり、並んでいた吉田義男氏を抜いて単独4位に浮上した。
もちろん、言葉少なに引き上げた試合後の表情を見ても、求めるのは個人記録よりチームの勝利。ただ、その強い思いが、結果的に記録につながる。チームの結果が思うように進まない中、猛虎史を駆け上がる高山の疾走は止まらない。