岩貞、月間MVPへ前進 9月は4戦4勝
「中日1-4阪神」(25日、ナゴヤドーム)
阪神・岩貞祐太投手(25)が中日打線を6回2安打無失点に抑え、今季9勝目を挙げた。チームを最下位回避決定に導くと同時に、これで9月は4戦4勝、防御率0・58と、自身初の月間MVPへ前進。3年目の今季は6月から7月にかけて勝てない時期もあったが、シーズン終盤に復活。来季は岩貞が左のエースや!
左のエースへ、また一歩前進だ。走者を背負っても、弱気な心をのぞかせない。本調子でなくても、きっちりゲームメーク。岩貞が粘りの投球で初の栄冠に手を伸ばした。
「ブルペンから調子が良くなかったけど、うまく配球してもらいました。要所、要所、ポイントを抑えることを意識しました。得点圏もゼロで抑えられて良かったと思います」
9月は4戦4勝、防御率0・58。初の月間MVPを視界に捉えた。強いメンタルが進化を物語る。昨年まで先頭の四球から崩れてしまうパターンが多かったが、今年は気持ちをリセットできる。
「四球を出しても、“四球を出した”と意識をしないようにしています。(昨年は)精神的なところから崩れることがあったので」
この日も三者凡退は初回の一度だけ。六回まで毎回のように走者を許したが、スコアボードに0を刻み続けた。3点の援護をもらった直後の五回は1死一、二塁のピンチを招いたが三塁は踏ませない。6回を2安打無失点。自身の成績をタイに戻す、堂々の9勝目だ。
「中5日というのもあったけど、できればもう1イニング行ってほしかったけど」
左腕の成長を認めるからこそ、金本監督はついつい辛口採点になってしまう。今季9勝目と聞いても、「この時期に?」と笑った。
9月上旬、甲子園での練習終わり。登板前日の取材に向かう左腕が、しみじみとつぶやいた。「これが21回目か~」。登板の数だけ取材がある。昨年までは数回程度だったが、今年は毎週のように報道陣の前に立った。これも1年間先発ローテを守り抜いた証しだ。
登板前は必ず「初心を忘れず」と呪文のように繰り返す。飛躍を遂げても、謙虚な姿勢は変わらない。質問者の目を見て自分の考えをはっきりと伝える。岩貞におごりなど、まるで見られなかった。
チームにとっても、価値ある白星だ。中日に2連勝し、最下位回避が決定。4位ヤクルトに0・5差まで迫った。岩貞自身も初の2桁10勝目にリーチ。ただ、ルーキー望月のデビューとの兼ね合いで次回登板は未定。それでも「チームは全ての試合を消化したわけではない。また自分のコンディションを整えてやっていきたいです」と頼もしく言った。凜とした振る舞いには、風格さえ漂い始めていた。