【超変革を検証】埋まらなかった呉昇桓が抜けた穴…今季逆転負け30回

 阪神・2002年以降のクローザー
2枚

 呉昇桓が抜けた穴は、阪神にとってあまりに大きかった。日本でプレーした昨季までの2年間で計80セーブ。金本監督も守護神の残留を熱望していたという。球団は代わりの守護神候補として、メジャー経験のあるマテオ、ドリスを獲得。外国人の中継ぎ2人を補強するのは阪神では異例だ。それでも最後まで勝利の方程式を確立できなかった。

 開幕直後は守護神マテオ、セットアッパー福原でスタート。七回はFA補強した高橋、ベテラン・高宮、若手の歳内らに任せた。オープン戦の結果を踏まえて新しい勝ちパターンを模索したが、早々に誤算が生じる。

 マテオの3イニング登板だ。3月31日・ヤクルト戦(神宮)は激しいシーソーゲームだった。ベンチが相次いで代打を送った結果、守護神は九回から延長十一回まで、マウンドに立ち続けた。球数は何と61球。引き分けに持ち込んだとはいえ後遺症は残った。

 翌4月1日・DeNA戦(横浜)はさすがにマテオを使えず、先発能見は1-0の九回もマウンドへ。しかし筒香に同点弾を浴び、さらにピンチを招いて降板すると、2番手が打たれ逆転負けを喫した。マテオは5月に入って5試合連続失点するなど精彩を欠き、同月下旬に右肩関節炎を発症。4月20日に2軍降格した福原に続いて登録抹消された。

 復帰した藤川の適性を見誤ったことも響いた。キャンプ、オープン戦までは先発で好投したが、シーズンに入ると結果を残せず、5月中旬にリリーフ再転向。調整期間を設ける案も浮上し、首脳陣も本人に打診したそうだが、「大丈夫」と断ったという。

 配置転換直後、藤川は「疲れた頃に若い子に代わってもらえれば」と話していた。しかし、若手の台頭は見られず、苦しい夏場も藤川に頼らざるを得なかった。43試合に登板し5勝6敗3セーブ10ホールド(うち先発で5試合1勝2敗)。この数字がフル回転を物語る。藤川本人は「初めてのことなので」と言うが、先発からスタートした今季は疲労を隠せなかった。

 逆転負けした9月14日・広島戦(甲子園)の試合後、金本監督は「七、八、九回。そこで逆転されるケースが今年何回かあって、そこを投げる投手がいなかった。今年1年の課題だと思います」と苦しい胸の内を明かした。守護神も務めたドリスは登板過多がたたり、故障がち。シーズン途中加入したサターホワイトも一定の結果を残したが、絶対的な信頼は得られなかった。

 チームは来季へ向けて、ブルペンの再整備に取りかかっている。セットアッパー候補として能見、岩崎を試し、藤川もリリーフ一本で勝負する。今季逆転負けは30回。優勝争いへ、新・勝利の方程式が鍵を握っている。

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