【超変革を検証】打撃にも影響を及ぼしたルーキー高山の拙守

 バットマンとしてはプロ1年目から力を示した阪神・高山俊外野手だが、一方で見逃すことのできない数字がある。外野手部門リーグワーストの6失策だ。公式記録には残らない拙守も何度か見られた。

 担当の中村外野守備走塁コーチが激怒したプレーがある。8月6日・ヤクルト戦(神宮)。三回無死満塁で西田の打球は三遊間を抜けて高山の前に転がったが、ファンブルして横に大きくそらした。三走だけでなく、二走の生還も許すなど、その回は一挙5失点。試合の流れを大きく変える適時失策がチームの敗戦につながった。

 試合後の中村コーチは「あれは技術的なミスではない。意識の弱さ。それは練習から意識してやっていかないと」と激しく叱責。試合前練習で高山にノックを打ち、ビジターでは球場ごとに細かい指示や指導を続けていた同コーチならではの厳しい指摘だった。

 気になるデータがある。高山が失策した6試合は計23打数4安打、打率・174。拙守が打撃にも影響を及ぼしたと言える。月間最高打率・366を残した7月は出場19試合で無失策だった。これは守備力の向上が打撃成績アップにもつながる可能性を示している。

 先発出場した118試合の内訳は左翼94試合、中堅24試合。日大三、明大では右翼および中堅での出場が主だった。左翼守備には中堅、右翼とは違った難しさがある。左打者特有の左に切れていく打球処理が代表例だ。本拠地の甲子園では浜風の影響を受けた飛球への対応も大きな課題となる。

 もちろん、高山自身が左翼の経験の浅さを言い訳にすることは一切ない。失策を犯した試合後は「僕のミスです」、時には「最悪なプレーです」など、少ない言葉ながらも自らの非を認めて反省する姿が印象的だった。

 守備に関しては、シーズン終盤になっても基本練習を徹底した。ゆっくり転がしたゴロを捕球し、正確なステップで送球するまでの動作を繰り返した。1年を振り返って中村コーチは「意識のレベルはかなり上がっている。『やれ』と言ったことはやる選手」と認める。

 類いまれな適応能力が発揮されるのは打撃に関してだけではないはずだ。高い守備力は長く第一線で活躍する選手を目指す上でも必須条件。チーム内には福留という最高のお手本もいる。近い将来は打撃先行ではなく、走攻守三拍子そろったスーパープレーヤーとしてファンを魅了してもらいたい。高山はそれだけの資質を十分兼ね備えていると信じている。

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