金本監督一発“実演”に若虎くぎ付け 甲子園で“初”自らフリー打撃22振
阪神・金本知憲監督(48)が16日、甲子園での秋季練習の合間に、自らフリー打撃を行った。計22スイングで右翼ポール際への柵越えも披露。選手への技術指導を意図したものではなかったが、見つめた原口らは指揮官のバッティングから学んだものもあり、結果的に有意義な“実演指導”となった形だ。
選手らにアドバイスを送った打撃練習が終わると、居残り特打が始まるまでのわずかな時間を逃さなかった。バットを握った金本監督は、打撃投手に声をかけ、そのまま打席に立った。秋晴れの甲子園に映えた背番号「6」。思わぬタイミングでの「実演開始」となった。
「遊び、遊び(笑)全然飛んでない。悔しかった。遊びとはいえ悔しかった(笑)」
合計22スイング。苦笑いで振り返ったものの、快音は響いていた。安打性の当たり6本に加え、右翼ポール際への柵越えも披露。今年の宜野座キャンプでは、鳥谷への打撃指導の途中で自ら19スイングして見せたことはあった。それ以来の実演で、甲子園では初めてのことだ。
「(選手に)見せようと思ってないし。選手がいない間と思ってたけど選手がいたからビックリした」と金本監督。居残り特打を行う上本、今成、原口、高山らの視線が自然と向く中でのバッティング。指導の一環ではない。あくまで遊びのつもりだったが、選手の受け取り方は違う。原口はこう話した。
「トップの位置を高くするとか、バットの出し方を参考にしたい。(監督の打撃は)かっこよかったです」
実際、この日の練習中に金本監督から受けたアドバイスを、原口は「トップとかバットの出し方です」と振り返っている。指揮官の打撃を自分の目で見て得たヒントは、自身も課題として考えているポイントにつながるものだった。
原口自身、9日からの秋季練習で新たな取り組みを行っている最中だ。指揮官はその狙いを「前のめりで打ってるでしょ、ピッチャー寄りに傾いてるでしょ。懐を作るために(重心を)真ん中ら辺に戻してるんだけど」と説明。より良い形を求めて重心の位置を修正している今、原口にとっては結果的に意味のある「実演指導」となった形だ。
「(秋季キャンプでの実演は)ない(笑)。せいぜい、ティーバッティングぐらいなら。素振りとティーバッティングぐらいならある程度できるけど、実際打ってというのは…。全身筋肉痛になって大変なことになる」
指揮官にとっては何気ない動きであっても、選手にとっては価値ある秋季練習第2クール最終日となった。