虎ドラ1大山125m逆転決勝弾で真価見せた!金本監督“朗報”に笑顔
「関東地区大学野球選手権・1回戦、白鴎大3-1横浜商大」(31日・横浜スタジアム)
阪神がドラフト1位指名した大山悠輔内野手(21)=白鴎大=が、「3番・三塁」で出場。0-1の初回1死二塁で左越えに特大の逆転2ランを放った。1日の2回戦・中央学院大戦に勝てば、阪神がドラフト会議直前まで1位指名する方針だったロッテ1位指名・佐々木千隼投手(22)を擁する桜美林大と、2日の準決勝で激突する。
秋晴れの空に白球が映える。ドラフト指名後初となる一発は、チームを勝利に導く貴重な逆転2ランだった。試合後、大山は「負けたら引退。自分の一打で勝つことができて良かった」と胸を張った。大切な仲間との思い出には、続きがある。
1点を先制され、迎えた初回1死二塁だった。真ん中高めに浮いたツーシームをフルスイングすると、打球は左翼席中段に飛び込んだ。推定125メートルの特大弾。ベンチ前でナインに出迎えられると、笑顔がはじけた。チームは六回にも1点を加え、逃げ切った。
1日の2回戦の相手は中央学院大。勝てば2日、桜美林大と準決勝で対決する。エース・佐々木はドラフト史上初となる外れ1位で5球団の競合となり、ロッテから指名を受けた注目の右腕。大山にとって“因縁”ともいうべき絶対に負けられない相手だ。
今秋、阪神にとって佐々木は1位指名の本命だった。創価大・田中との二者択一から10月を前にして一本化が決定。ドラフト会議直前まで方針が覆ることはなかったが、当日に電撃指名のサプライズが起こった。金本監督の要望もあり、直前で「将来の大砲候補」として大山の単独1位指名に切り替えた。
そんな経緯から2人には、特別な視線が注がれている。佐々木はこの日の第3試合、創価大・田中との投げ合いに9回1失点で勝利し、準決勝進出を決めた。やはり、実力は本物だ。直接対決で真価を証明したい。
「プレッシャーは感じますけど、それを力に変えていかないといけない。負けずにやっていきたいと思う」
大山の強い気持ちは揺るがない。日本ハムが10年ぶりの頂点に立った日本シリーズは、その思いをさらに強くさせた。テレビ越しに見たプロ野球最高峰の舞台は、青年の心に響いた。
「西川選手の(第5戦の)満塁ホームランを見て、仲間のために、チームのためという気持ちが伝わってきた」
大学1年時に、かつて白鴎大の教授を務めていた日本ハム・栗山監督の特別講義も受けたことがあるという大山。今回の日本シリーズは、改めて自分自身と向き合う時間だった。夢は膨らむが、まずは目の前の一戦を戦う。2日に佐々木を倒せば、11日に開幕する明治神宮大会への出場権を得ることができる。
金本監督は、この日の一発を知り「楽しみだから取ったんだから」と目を細めた。なんとしても右腕と同じ土俵に立つ。“佐々木撃ち”が、未来を切り開く第一歩になる。