藤井新コーチ育てる“体技心”の正捕手候補…配球の勉強の前に頑丈な体
金本阪神2年目の秋季キャンプがスタートした。4位に終わった「超変革元年」を糧に、12年ぶりのリーグ優勝を目指す17年シーズンへ向けての課題、勝つための戦略を新コーチに聞く。近鉄、楽天、阪神と渡り歩いた「男前」藤井彰人2軍育成コーチ(40)は、体力向上を第一とし、未来の正捕手候補の育成に励む。
スポーツマンの基本である「心技体」の精神。藤井2軍育成コーチの考えは、強い体こそ最も重要なポイントと位置付ける「体技心」だ。今季限りで現役を引退した同級生・福原2軍育成コーチとの共闘にも意欲的。正捕手育成を最大のテーマとして掲げ、“使える”プロ野球選手の育成に全力を注いでいく。
高知・安芸市営球場のブルペンに、新任コーチの姿はあった。「捕手というのは『捕る』、『投げる』、『止める』の三つだと思うんです。これができればある程度、捕手としては認められるんじゃないですか」。配球の勉強をする前にまず、大切なのは扇の要として当たり前のことができるということ。そのために、絶対に故障しない頑丈な体を作らなければならない。
具体的なメニューはこれから熟考するが、トレーニングには十分に時間を割く構え。「育成していく上で必要な時にいない選手はダメ。『いつでもいけるぞ』というのが、いい選手の最低条件だと思います」。走り込み、ウエートトレーニングなどで鍛え上げる。「理不尽なこともありましたけどね(笑)」と自身が若手時代に経験したことも踏まえ、惜しみなく伝えていく。
98年度ドラフト2位で近鉄に入団し、楽天、阪神と渡り歩いて17年。厳しい戦いも、強固なボディーで乗り越えてきた。15年に現役を引退し、16年3月から7カ月間、BCリーグ・福井にバッテリーコーチとして派遣された。一人一人、選手の個性を見極める重要性を学び「勉強になりましたし、感謝しています」。そして「体の強さは選手の基本」と再認識することができた。
現在は秋季キャンプに帯同し、“担当外”のことも学んでいる。「打撃コーチの話を聞いて、どういう言い方をしているんだろうとかね」。現役時代も、鳥谷に守備についてよく質問していたという。捕手だけではなく、育成コーチの役割は多岐にわたる。一人でも多くの選手を1軍へ、気持ちはただ一つだ。
「いい選手というのではなく、“使える”選手を育てたいですね。監督が必要だと思う選手、勝つために必要な選手を育てないと」
福原とは、同じ育成コーチという肩書でチームを支えていく。「同級生ですし、現役のころからいろんな話をしてきたので。サポートできればいいですね」。今季4位に終わった金本阪神の底上げを託された藤井コーチ。豊富な経験を愛あるゲキにして伝え、鳴尾浜から多くの若虎を1軍に送り込んでいく。