糸井、即答しない 金本監督直接出馬も、オリへの恩義あり「時間が必要」
11日に大阪市内のホテルで阪神とのFA交渉に臨むオリックス・糸井嘉男外野手(35)が初交渉で「即答しない」意向であることが10日、デイリースポーツの取材で分かった。糸井はFA権行使を表明した7日に「早い段階で決めないといけない」と明かしたものの、4年間在籍したオリックスに深い恩義を感じており、移籍か残留か、熟考する構え。阪神は粘り強く交渉し、恋人を振り向かせる。
阪神との交渉前夜、デイリースポーツの取材で糸井の胸中が明らかになった。
「即答はできない」
球界の偉大な先人として、かねて敬意を抱いてきた金本監督と11日、大阪市内で直接対面する。高級ホテルの一室で具体的な条件提示を受け、ありったけのラブコールが準備されているはずだ。その誠意に感謝し、心が揺さぶられるかもしれない。それでも、その場で方向性を固めイエス、ノーとアンサーすることはないという。
7日、糸井はオリックスの球団事務所で国内FA権の行使を表明し「早い段階で決めないといけない。メドはないけど、できるだけ」と話した。現時点で他球団からのオファーはなく、進路はオリックス残留か阪神移籍の二択。両球団の編成面を気遣い、期限ぎりぎりまで返答を先延ばしにするつもりはないが、だからといって拙速に結論を出すつもりもない。13年から4シーズン在籍したオリックスへの感謝の念は深く、両球団からの評価を冷静に判断したうえで、「時間が必要」だと糸井は考えている。
コミッショナーからFA宣言選手が公示されたこの日午後3時を待って、阪神が糸井サイドに即連絡を入れ、交渉解禁となる11日にテーブルにつく約束を取り付けた。高野球団本部長は交渉の回数について「(糸井が)できるだけ長く(交渉を)ということは脈があるということなので…。明日が第一歩」と話し、複数回のロングラン交渉も覚悟した。同本部長は他のFA選手への獲得調査を「ありません」と言い、FA補強は「糸井一本」であることを強調。誠心誠意、必要戦力であることを伝える準備を整えている。
糸井は、働き場所を決める判断の材料について「自分が成長できる環境であるかどうか」だと話す。この言葉に偽りはなく、年俸条件が前面に報道されるのは本意に反するという。金銭とは別次元で自身がこだわる条件について、率直に阪神側に伝える。金本監督が高知・安芸での秋季キャンプを10日の練習後に抜けだし、交渉場所に駆けつける。インパクト抜群の口説き文句で一気に「阪神糸井」の誕生を願うが、糸井は虎の誠意を一度持ち帰る。「悩むと思う」。その言葉通り熟考を重ね、ファイナルアンサーを導き出す。