福原新コーチ 気付いて欲しい…自発的な意欲と意識の大切さ
ノックバットを持ちながら、鳴尾浜で練習を見守る。現役引退直後に2軍育成コーチを任され、就任から2週間が経過。指導にあたる姿も自然になじむ。阪神・福原忍コーチの中でも、育成への考えがはっきり見えてきた。
「まずは体作り、体力作りとかですね。若い選手が多いですし、そういう面で体を作るのが大事だと思う。その中で僕がやってきたこと、現役の時に感じたことを伝えられたらいいなと思います」
現役時代から選手にアドバイスすることが多かった。その中でも、今季は2軍生活が長く若手と接する機会が多かった。その経験が今後の指針にもなる。「本人たちはそう思ってないかもしれないけど、僕が見てて思ったのは『甘いよね』という。そんなんでいいの?と」。求めるのは、自発的に練習に取り組む意欲と意識だ。
「2軍で満足しているというか、もっとガツガツ1軍に上がりたいというのを出してもいいんじゃないかな。今年2軍にいてそういう部分を感じたので」
狭き門をくぐり抜けてプロ野球選手になった以上、現状に満足して欲しくない。「こっちから言うのは簡単だけど、まず選手が自分で何をすべきか、何をしたらいいかを考えて」。やらされるのではなく自分で動いて欲しい。それが厳しい世界で生き抜くすべとなる。
「全体練習が終わってからでも、自分が考えてやるのが大事なのでそうやって欲しい。気付いて欲しいけど、ある程度言うかもしれない。それじゃ上に上がれない、上がるためにどうすればいいか考えなさいと」
タテジマ一筋18年。福原コーチ自身がそうだった。「僕もいろいろ経験して感じたのは、みんなと同じことをやってたら同じ成長しかしない。(そういうことは)切羽詰まった時より、早いうちに知ってたら違うと思う」。若手に感じる甘さは、親心からくるものだ。
自分のために投げてきた現役時代。これからはより人のため、選手のために生きていく。時に厳しくなった口調も愛情の表れ。選手のアクションを待ち、時に自ら動いて選手に働きかける。その成果が見えてくるかどうか。目指すのはそこだ。
「(指導で伝える言葉も)難しいと思うので。人それぞれ性格があるので。勉強じゃないですけど選手と根気よく。(指導した選手が)おっ、変わったなとか感じて、投げるのが楽しくなったりしたら、ちょっと面白いと思う」。一人ではなく、選手との二人三脚。コーチとしてのやりがいであり目指すところは、そこにある。