糸井、鉄人宣言「全試合出る」 阪神移籍発表、4年総額18億
阪神は21日、オリックスから国内フリーエージェント(FA)宣言していた糸井嘉男外野手(35)の獲得を発表した。糸井はこの日、オリックス・長村裕之球団本部長に移籍の旨を報告し、阪神側に入団の意思を伝えた。契約は4年総額18億円(金額は推定)。公の場で具体的な目標は封印したが、阪神関係者に「全試合出場」を宣言。「金本監督を男にできるよう全力プレーでトップを目指していきます」と、虎を32年ぶり日本一に導く活躍を誓った。
テレビカメラ5台を含む、報道陣約50人が集まった有馬温泉の老舗旅館に糸井が姿を見せたのは夜7時。「えっ、これで撮るの…」。渦中の超人はオリックスの選手会納会に出席するため、浴衣姿。当初予定になかった囲み取材は「やっぱり話した方がいい」という本人の一声で急きょ行われた。
「いろいろ考えましたけど、チャレンジして自分を奮い立たせてやってみようと。(金本監督から)『勝つために必要』と言われてやりがいを感じ、やっていかないといけないという気持ちです」
カメラの前で具体的な目標を語ることはなかったが、この日、阪神のチーム関係者には「全試合出場するつもりです」と、鉄人宣言。現在、大阪市内で無休でトレーニングを続けている糸井が秘めたる心境を明かしたという。背番号は西岡から譲り受ける形で、思い入れのある「7」に決定。近日中に開かれる入団会見で縦じまに袖を通した糸井が改めて決意表明に臨む。
この日午前、オリックスの長村球団本部長に移籍の意思を伝えた。阪神から提示された条件は4年総額18億円。申し分ない評価だというが本人は「何より大きかったのは、金本監督の熱意に心打たれたことです」。指揮官が「初めての恋人…いや、恋人以上」と熱い気持ちを伝えた結果、その思いは結実した。
糸井は「金本監督を男にできるように、と。全力プレーでトップを目指していきます」と意気込む。35歳シーズンの今季は打率・306、17本塁打、70打点。53盗塁でタイトルを獲得し、衰えのないプレーを見せつけた。夢は虎を32年ぶりの日本一へ導き、金本監督を「男」に、「優勝監督」にすることだ。
「今日納会があって、(実は)来るのを迷いましたけど、やっぱりお世話になっているので、しっかり顔を見てあいさつをしようと思いました」
糸井が大広間に到着するとオリックスの選手、スタッフらが満面の笑顔で出迎えた。「ヨッピー、早く!」。13年に日本ハムから移籍し「ほんとに成長させていただきました」。心の通う仲間たちとも出会い、思い出は尽きない。だが、飽くなき向上心が新たな挑戦を決断させた。少年時代から「ファン」だった虎の一員として悲願に貢献したい一心で…。
金本監督は既に超攻撃型の「2番構想」を描いている。「超人」と呼ばれる35歳の成長曲線は、まだまだ計り知れない。「阪神・糸井」が甲子園を熱くする。