陽川、一翔ロード疾走 ボクシング世界王者と同じ和歌山・白良浜から定位置獲りへ
阪神・陽川尚将内野手(25)が10日、「井岡道」を突き進んでレギュラー奪取を目指すと誓った。和歌山県西牟婁郡上富田町で自主トレを行っている大砲候補はこの日、ボクシングWBA世界フライ級王者・井岡一翔(27)も鍛錬の場としている白浜町の白良浜で走り込みを敢行。母校・東農大の先輩でもある王者に倣い、定位置を奪う。
真っ白な砂浜を一歩、また一歩踏みしめて走る。世界王者・井岡一翔も下半身強化のために訪れる和歌山県の観光地、白良浜。透き通るような青空の下、4年目を迎えた陽川はレギュラー奪取へ懸命に汗を流していた。
「やるからにはチームの中軸を任せてもらえるようにしたいです。誰にも負けたくない気持ちが強いですし、そのためにしっかりトレーニングをしているつもりです。力を見せつけられるようにしたいと思います」
今季こそ定位置を奪う。力強い言葉の数々は、まるでボクサーが試合前に行う会見での発言のようだった。偶然にも、その場所は井岡が鍛錬の場所に位置づける白い砂浜。「テレビで見ることはありますね」という王者とは、どこか不思議な縁で結ばれている。
アマチュアに出場権がある北京五輪出場を目指していた井岡は高校卒業後、陽川が後に門をくぐることになる東農大に進学。しかし1年時の全日本大会決勝で敗れ、長年の夢だったオリンピック出場を逃した。2年途中で大学は中退したが、反骨心を支えにプロとして絶対的な地位まで上り詰めた。
“先輩”と面識はないが「同じ大学だったということは知っていました」。今回の自主トレでお世話になっている関係者の中には、井岡とクラスメートだった人もいるという。競技は違うが「僕も日本を代表するというか、そういう選手になっていきたいと思います」とプロとしての心得は通じている。
「砂浜は足が沈んで走りにくいですが、下半身はかなり鍛えられると思います。去年はキャンプ、オープン戦と1軍でやれたので、今年もなんとかアピールしたいと思います」
巨人・鬼屋敷と共にバットも振り込んでおり、この日はフリー打撃で92スイング中3本の柵越えを披露。昨季のウエスタンで本塁打、打点の2冠に輝いたその素質はダテじゃない。倒れても倒れても立ち上がり、今年こそ大輪の花を咲かせる。開戦のゴングはもう鳴っている。