藤浪「ダル投法」に手応え 今年初ブルペンで理論実践
阪神の藤浪晋太郎投手(22)が17日、鳴尾浜で自主トレを行い、今年初めてブルペン入りした。WBC公認球を使用し、捕手を立たせて変化球を交えながら55球を投じた右腕は、投球フォームをマイナーチェンジしたことを明言。昨年12月に行ったレンジャーズ・ダルビッシュらとの合同自主トレで理論を学び、シンプルさを追求したフォームに好感触を口にした。
顔の位置がまったくブレなかった。フィニッシュした際の左足も動かなかった。時折、笑みを浮かべながらブルペンで投げ込んだ藤浪。WBC公認球を使っての55球に「フォームのバランスはよかったと思います」と納得の表情を浮かべた。
各選手の自主トレが一段落した正午過ぎ、静けさを取り戻したブルペンで藤浪の調整が始まった。捕手を立たせたまま力強いボールを投じ、最後は変化球も交えた。そこで明らかに違ったのはグラブを持つ左腕の使い方。一本の棒が入っているようにピンと伸ばし、そこを軸にしながら一気に回転する。
「左腕は変えました。(前に流れる)体を止めるというよりも、左肩が入り過ぎないように。左肩が入ると体の開きも早くなるので」と明かした藤浪。きっかけは昨年12月に行ったダルビッシュらとの合同自主トレだった。「いろんな一流投手の方が参加されていて、いろいろ勉強させていただいた」。トレーニング法だけでなく投球理論も吸収。たどり着いた答えは「ムダを省く」だった。
「去年はいろいろと考え過ぎてしまったので。ムダな部分を取り除いて、バランスよく投げる」。ダルビッシュも日本ハム時代に左腕の使い方を意識し、変えたことで飛躍につなげた経験がある。
左肩を入れ過ぎず、打者方向へ流れていく体を左腕で止める意識を持ってエネルギーを蓄え、一気にボールへと伝える。制球力がアップし、ボールの力も増したことで日本を代表するエース、そしてメジャー屈指の好投手へと成長した。
この日、アマチュア時代から右腕を見てきた畑山チーフスカウトも藤浪のブルペンを視察。変化した姿に「左肩を気にしてて、入り過ぎないようにしていた。このままいけば、縦のバラツキはあるかもしれないけど、横のバラツキは減る。スカウトとして見ていた頃よりも体の力は上がってるし、そこでシンプルにという形になったのでは」と目を細める。
今後は「まだ投げ始めですし、100%の力でどうなるか」と課題を口にした藤浪。WBC日本代表入りが内定しており「キャンプまでに捕手を座らせて、変化球の精度を高められれば」と力を込めた。虎のエースが見せた変革の兆し-。実を結べば必ず、昨季とは違った結果がついてくる。