あの日から一年…高山「3割20発」に込めた理想像

 阪神・高山俊外野手(23)が進化している。新人王を獲得した昨季から、大幅なジャンプアップを目指す2年目。目標は「3割、20本塁打」。左翼方向へ伸びる放物線に、成長の軌跡を感じる。あの時から1年がたち、“答え”は見つかった。

 昨春、高山は右手有鉤(こう)骨骨折のリハビリのため高知・安芸の2軍キャンプにいた。順調に復帰への道を歩み、実戦にも出場し始めていた2月の下旬。掛布2軍監督から宿舎内の自室に呼ばれ、思わぬ言葉をかけられた。

 「お前はヒットを打ちたいのか、大きいのを打ちたいのか、どんな打者になりたいんだ?」

 高山は悩んだ末、正直な気持ちを話した。

 「分かりません…」

 フリー打撃では豪快に柵越えを連発するが、試合になると巧みなバットコントロールでヒットを量産。そこには「2人の高山」がいた。「どう育てたらいいか悩みましたね」。背番号31は5年後、10年後の姿を思い浮かべながら言葉を続けた。

 「確かに1年目で入ってきて『分かりません』というのは当然。僕は『今まで自分が信じてきた通り、思ってきたことをそのまま続けなさい』と言った」

 134試合で打率・275、8本塁打、65打点。昨季終盤は打線の軸としてチームを鼓舞したが、悔しい記憶も残る。象徴的なのは6月12日・日本ハム戦(札幌ドーム)。大谷に3打席連続で空振り三振を喫した。何かを変えなければ次に進めない。昨秋から取り組む「新打法」が、飛躍への道しるべとなる。

 ステップ時に右肩を固定し、ボールを捉え、振り抜いた後に体を捕手方向へ反転させる。巨人・阿部も取り入れている「ツイスト打法」と呼ばれる打ち方。高山が意図を明かした。

 「右肩が開いて、体の回転と左肩が同時に回ってきてしまうのを直したいということです。体の前で、しっかり(バットの)ヘッドを走らせることを意識しています」

 左肩が同時に出てきてしまうと、バットが体の外側から出る「ドアスイング」の軌道が生まれる。これが昨季中盤以降、内角攻めに苦しんだ一因。クリアできれば外角球も強くたたくことができ、昨年1本だった左翼方向への本塁打も増えてくるはずだ。

 今キャンプの実戦5試合では17打数7安打、打率・412。片岡打撃コーチは「逆方向への長打が高山の課題の一つ。考えながら打席に立っているのが分かる」と評価する。

 あの日から1年-。高山はプロ2年目の目標に「3割、20本塁打」を掲げた。力と技の両方を極める決意を固めた17年の春。分からなかった「理想の自分」は今、見えている。

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