糸井 福留のライナーが右腕直撃も「収穫や!硬球は硬くて痛い」超人節サク烈
「阪神春季キャンプ」(21日、宜野座)
右膝関節炎からの完全復活を目指す阪神・糸井嘉男外野手(35)が、ヒヤリとするアクシデントに見舞われた。フリー打撃中に外野をランニングしていると、福留の強烈な打球が右上腕部を直撃。球場は騒然としたが、「収穫や!硬球は硬くて痛い」と笑顔で“超人節”をサク裂。さすがの筋肉の鎧(よろい)で主将の球をはね返した。
宜野座に衝撃が走った。フリー打撃中のメイン球場。糸井が右翼後方を走っていたその時、福留の強烈なライナー性の打球が右腕を襲った。打撃練習は中断し、トレーナー陣が背番号7の元へ駆け寄る。患部を気にするしぐさに心配は募る。数分後、下を向きながらサブ球場へ向かった。
グラブを持っていったが、キャッチボールは回避。軽めのダッシュは行ったものの、第4クール中に3日連続で実施したフリー打撃も中止した。練習後、重い足取りで帰りのタクシーへと向かう。報道陣から「右腕は?」と質問が飛んだ。すると、満面に笑みを浮かべながらこう答えた。
「収穫や!硬球は硬くて痛い。勉強になったわ。硬球は硬くて痛い!」
まさかの“超人節”に周囲は大爆笑。独自の言い回しで心配無用をアピールし、不安を一蹴した。福留に「ゴメン、ゴメン」と謝罪されると「大丈夫です」と笑顔で返答。あと数十センチズレていたら…と思うとゾッとするが、幸運なことに当たった場所は骨ではなく、右肘上の筋肉の部分。軽い打撲で病院にも行かない。本屋敷トレーナーが現状を説明した。
「動くと腫れが出てくるかもしれないので、念のため回避しました。別に無理することでもないですからね。たいしたことはありません。明日(22日)もフリー(打撃)をやる方向でいきます」
この日は、13年の第3回WBCで監督を務めた山本浩二氏が球場に来訪。侍戦士の一員だった糸井は姿を見つけるとすぐ歩み寄り、あいさつ。「『しっかりやっとるか?』と言われました。ボスですから」。4年前の春、日の丸を背負って世界と戦った記憶がよみがえり、気合が入った。復帰への思いがまた一段と強くなった。
ミーティングには自前のノートを持参し、熱心に首脳陣の話を聞いていたという背番号7。本隊合流への時期は依然として不透明。それでも、3月31日・広島との開幕戦へ視界は開けている。
「今日(21日)は何もやってへん!」
不完全燃焼になった一日を悔しそうに振り返り、球場を後にした。予想外の“事故”も超人的な運の良さで切り抜けた第5クール初日。早く、早く全力で野球がしたい。衝撃を受けたはずの右腕で力強く拳を握っていた。