高山20発見えた“浜風弾” 由伸ばり“弾丸”に巨人スコアラー超警戒
「阪神紅白戦、白組2-2紅組」(27日、宜野座村営野球場)
阪神の高山俊外野手(23)が27日、宜野座で行われた紅白戦で左翼に弾丸ライナーの一発を放った。150キロ超の直球を力ではじき返した姿に、巨人・森中スコアラーは現役時代の高橋監督をだぶらせ、金本監督も高い吸収力を絶賛。甲子園では左打者にとって“天敵”となる浜風を逆に利用する逆方向へのアーチ。目標の3割20発へ、確かな道筋が見えてきた。
すさまじい衝撃音だった。まるで鉄球を金属バットで打ち返したような「ガチン!!」という打球音が、快晴の宜野座に響いた。最大限の力と力がぶつかった白球は、風にも乗って弾丸ライナーで左翼席へ。高山が放った一発は、目標の3割20発が決して遠くないことを予感させる。
「少し差し込まれましたけど、ストレートを狙ってしっかり打てて良かったと思います」と振り返った昨季の新人王。場面は四回1死走者なしで迎えた第2打席。ドリスが投じた151キロの直球を完ぺきにはじき返した。
打球は左打者特有とも言えるスライスの軌道を描くことなく、低い弾道のまま一直線にスタンドへ伸びた。最高のポイント、最高のスイングで放ったアーチ。ネット裏で見届けた巨人・森中スコアラーは「現役時代の高橋監督?そうそう。ああいう打球を打ってたよね」と明かす。
高橋監督は東京六大学リーグの本塁打記録を持ち、プロ通算321本塁打を放った天才打者。逆方向への打球がスライスすることなく、力強く伸びていくのが特徴だった。森中スコアラーも現役時代に打撃投手として練習に付き添った経験があり、高山についても「外に投げておけばいい打者ではない。甲子園には浜風もある。今年、本塁打数は間違いなく増えるでしょう」と断言する。
左打者が聖地でアーチを量産するには、右翼から左翼へ強く吹く浜風と戦うのではなく、味方につけなければならない。打球の質がスライスであれば三塁側アルプス席まで流されてしまうが、直線的に飛べば風が後押ししてくれる。金本監督は「最近はセンター中心にと言ってるんだけど、それでパッとあっちに打てるからね」と、その吸収力の高さを好評価。甲子園の浜風についても、同じ左打者として苦労した経験があるだけに「利用しないと」と、有効活用を勧める。
この日も本塁打の瞬間は浜風と同じ風向きだった。「逆方向にああいう打球が増えていけばいいと思います」と力を込めた高山。目指してきた安打製造機から長距離砲への進化-。宜野座最後の実戦練習で、その道筋を確かに示した。