能見、修正力見せた 六回まで1安打0封、七回に暗転も金本監督「ほぼ満点」
「阪神4-3巨人」(9日、甲子園球場)
ベンチ前で控え選手らが待ち受けた。阪神・能見は次々に差し出された手を、力強く叩き返すことができない。表情では冷静さを保ちながら、胸奥の悔しさがあふれ出る。6回0/3を4安打3失点。六回までの1安打投球は、七回に突如暗転した。だが、金本監督は言った。
「ほぼ100点満点。テンポといい、球の高さといい。ちゃんと修正してああいった投球をしてくれる。その辺が信頼を得る投手ということになります」
指揮官の言葉通りに、序盤から完璧な内容だった。初回。中井をフォーク、坂本勇はチェンジアップで空振り三振に斬った。三回まで無安打投球。四回は2死から坂本勇に二塁打を打たれたが、続く阿部を宝刀フォークで二ゴロ。だが、完封が見え始めた七回だった。
無死一塁で打席には坂本勇。カウント2-2から5球目の前だ。タイミングに変化を加え、クイック気味に始動。だが、これを一塁塁審にボークと宣告された。さらに二塁内野安打で一、三塁。阿部にフォークを拾われ、右前適時打で同点とされた。香田投手コーチが振り返る。
「いつもと同じ形でグラブを止めているように見えたけど。どっちに転ぶかというギリギリの勝負。能見らしい投球をしてくれた」
2番手で登板した桑原が代打・亀井に2点適時二塁打を浴び、3失点となった。3連打について能見は「流れもある。仕方ない」と必死に前を向く。2日の広島戦で3回1/3を4失点で降板。中6日で修正した姿を見せた。「こうやって続けていければね」。逆転勝利の裏には先発投手の粘投があった。