糸井で始まり糸井で締めた!四回一挙6点奪い逆転連勝 開幕戦以来の貯金1
「DeNA6-8阪神」(12日、横浜スタジアム)
超人がいれば、天敵なんて怖くない。阪神は1-3の四回、先頭・糸井嘉男外野手(35)の四球に始まり、糸井の左前2点タイムリーで今季最多1イニング6得点。昨季は苦しめられたDeNA・今永を攻略した。チームは連勝で開幕戦勝利以来の貯金1。ここから勝って勝って勝ちまくる!
一塁上で大きく手をたたき、笑顔がはじけた。打者一巡の猛攻で天敵・今永を攻略した四回。4点を奪って逆転し、なお続く2死満塁の絶好機。糸井が、外角に逃げるスライダーをバットの先で捉えた。打球は左翼で弾み、2人の走者がホームイン。「ウエポン(上本)のヒットを見たら、火ついてまうやろ!」。寒空の港町を歓喜の渦に巻き込んだ。
「つないで、つないで取った点なので。僕も続けて良かった」
左腕には昨季、4試合で対戦防御率1・80と抑え込まれていた。猛虎打線の全員で打ち砕き、“超人”が最後を締めた。得点圏は6打数5安打、打率・833と驚異的な数字が躍る。「いい投手ですけど、今日は攻略できて良かった。タイムリーになって良かった」。3番に座る男が、頼りになる。
雨天中止となった前日はDeNA・高田GM、ラミレス監督と2人の“恩師”から「打つな」指令を受けていた。本音半分の激励だったが、徹底マークされる中で結果を出すあたりはさすがの一言。3四球とチャンスメークもきっちり。激戦を制した後、金本監督は選手たちに言葉を送った。
「自信にしてほしいし、つながりも今日に限ってはあったし。ホームラン1本で8点か。チャンスで上本や糸井が打ってくれて」
関節炎を発症した右膝には、キャンプ中から毎日テーピングが施されている。その日の状態に応じて、微妙に巻き方を変えながら戦いの舞台へ出る。実戦復帰した今も、準備とケアを怠らない日々。だから、チームを勝利へと導く一打を打てる。そんな男を、本屋敷トレーナーが全力で支えている。
「(テーピングは)準備のためですよ。体を正しいバランスで保つためです。変な方向にいかないようにね」
打率・379はリーグ5位、12打点はリーグ2位と獅子奮迅の働きを見せる背番号7。もう、欠かせない存在だ。「どこでも打ちたいです」。再び貯金1としたタイガース。そのど真ん中に、糸井が堂々と君臨している。