福留G倒弾 天敵マイコラス初撃破 復活4番が4安打固め打ち

 「巨人1-4阪神」(21日、東京ドーム)

 4番が打って、阪神が2位タイへと浮上した。天敵の巨人先発・マイコラスに、来日8度目の対戦で初めて土をつけた。初回1死一、二塁から福留孝介外野手(39)が右翼へ2号先制3ラン。五回にも1点を加えて逃げ切った。福留は今季初の4安打固め打ち。不惑を迎える主砲が、力強く打線をけん引した。

 たまっていた鬱憤(うっぷん)を晴らす一撃に、チームの全員が歓喜した。そんなナインの姿とは対照的に、福留はダイヤモンドを無表情で一周。先制3ランを含む4安打の活躍にも笑顔はない。チームを勝利に導いた主将は、ヒーローインタビューをメッセンジャーに譲ると、すぐに荷物をまとめて帰路についた。

 これまでの思いを打球に乗せた。一回1死一、二塁。カウント1ボール2ストライクと追い込まれながら、123キロカーブを捉えた。オレンジ色で埋まる右翼スタンドに着弾。ベテランの一振りで試合の主導権を握った。

 第2打席では右前打、3打席目にも左中間への二塁打でチャンスメーク。三塁打を放てば2年連続サイクル安打達成の偉業がかかった4打席目には右前へ運び、4安打の固め打ちだ。

 「昨日、おとといと俺が打ってればという場面が多々あって、チームに迷惑をかけていたから。なんとかしようとね。今日はたまたまいい方向に出たのでよかった」

 20日・中日戦では好機で3度の凡退。第1打席では普段使用しているものよりも軽いバットを後輩から借りて出場。この日で打率は・315まで上昇したが、数字とは裏腹にこれまで満足できる打席内容は多くなかった。数ある引き出しを駆使し、現状を打破しようとする姿があった。

 主将に就任した今季。やることは「変わらない」と話すが、明らかに周囲に気を配っている。春季キャンプ後に行われた甲子園での打撃練習。二塁を守っていた新人の糸原に意図的にゴロを打った。実際の打球の質を教えるため-。福留は「そりゃ打てるよ」と話しただけだが、ルーキーは「本当にありがたいです」と技術向上へ手助けしてくれたことはもちろん、なじみやすくするための環境作りにも感謝していた。

 これで首位・広島に1・5ゲーム差と迫る2位タイ。虎のレジェンドが火をつけた。勢いのまま、まずは首位浮上へと突っ走る。

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