福留 12年ぶり!1シーズン2度目の4安打 雪辱大暴れ!逆転ヤ倒

 「ヤクルト4-8阪神」(3日、神宮球場)

 主将、4番としての思いを打球に込めた。阪神・福留孝介外野手(40)が九回に左中間へ適時二塁打を放つなど、今季2度目の1試合4安打。好機で一打が出なかった前夜の悔しさを晴らした。これでチームは再び貯金4。カード勝ち越しを決めてきょうこそ金本虎初の貯金5や!

 ミスを取り返してあげたかった。主将として、若手の失態をカバーしたかった。「若い選手の、しちゃいけないミスをチームで取り返したかった」-。左中間を真っ二つに破った打球、今季2度目の4安打には主将・福留の思いと責任感が強くにじみ出ていた。

 1点差に迫られた九回。無死一塁から江越がスリーバントに失敗した。明らかに悪くなった試合の流れ、ベンチのムード-。「自分は難しく考えないように」と、シンプルに福留は打てる球だけを待った。1ボールからの2球目、真ん中に甘く入ってきたスライダーをきれいに前でさばいた。

 打球は左中間を破り、一塁走者の大和が一気に生還。価値ある追加点を奪うと、続く北條の左前打では「まだ走れます」と40歳らしからぬスピードと勢いで二塁からホームへかえってきた。二回、四回と先頭で迎えた打席では右前打を放ってチャンスメーク。1点リードの八回にも右翼線へ安打を放ち、一挙3点の猛攻を呼んだ。

 1シーズン2度の4安打は05年の中日時代以来、12年ぶり。前夜は好機で打てず「俺のせいや」と全責任を背負った。「毎日、試合があるわけだから」と気持ちを切り替え、ミスが続出した前夜の敗戦から24時間もたたない中でのリベンジ。その背景にはバットマンのある流儀がある。

 結果が出ようが、出まいが、福留は必ず1本のマスコットバットを宿舎に持ち帰る。自室で打席内容を反すうし、翌日に生かすためだ。今、この瞬間にやるべきこと-。3月、初実戦を迎える前、ランニングの強度と本数を増やした時も「試合に出だしたら走れないから。今のうちにやっとかないとね」と明かしていた。

 目の前にある課題を先送りせず、納得して一日を終える。そして次のゲームに臨む。前夜の借りを返し、若手のミスも帳消しにした4番の存在感。「彼らがまた次の機会にしっかりできるように」と力を込めた背番号8の姿勢が間違いなく、発展途上のチームを支えている。

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