猛虎最大の逆転劇で単独首位 金本監督「驚き」0-9から奇跡が起きた!
「阪神12-9広島」(6日、甲子園球場)
歴史的大逆転劇に、甲子園が震えた。五回表の時点で9点のリードを許した阪神だが、その裏に1点を返すと六回に打者一巡の猛攻で一挙7点を奪って1点差まで接近。そして七回、ドラフト5位・糸原健斗内野手(24)が同点打を放ち、梅野隆太郎捕手(25)の2点三塁打で勝ち越した。9点差の逆転は球団史上初。金本知憲監督(49)も驚きを隠せない勝利で、チームは昨年4月8日以来の単独首位に立った。
誰がこんな結末を予想できただろうか-。興奮と驚喜が、聖地に充満した。何度も何度も六甲おろしが鳴り響き、それに鼓舞されるように躍動した猛虎。球団史上初となる9点差大逆転劇。チームを率いる金本監督ですら「驚きが強い?もちろん」と偽らざる心境を明かす。
五回表を終えた時点で0-9。広島の猛攻の前に、完全なワンサイドゲームと化した。「最初は本当にお客さんに申し訳ない気持ちでいっぱい。何とか一つでも盛り上がるシーンを作ってほしいなと思っていたんですが」と指揮官。しかし、これが後世まで語り継がれていく伝説の“プロローグ”だった。
その裏、梅野の中前適時打でまず1点。六回は暴投や押し出しなどで4点を返し、なおも2死満塁で高山が打席に入った。「ここで打てば面白いぞ」。金本監督の直感に応えるように、高山は右翼線へはじき返す走者一掃の3点三塁打。ついに1点差へ迫った。
七回、一度は“運”に見放された。1死一、二塁から鳥谷の放った打球を二塁・西川がファンブル。打球が転々とする間に二走・江越が一気に本塁へ突入し、セーフの判定が下った。ついに同点かと思われたが、約15分間のリプレー検証で判定が覆った。万事休すか-。「ここで流れが止まったかなと思ったんですが」と指揮官が抱いた一抹の不安を、糸原が同点の右前適時打で払しょくした。
そして梅野が右中間を真っ二つに破る勝ち越しの2点三塁打。スタンドは総立ちとなり、ベンチはお祭り騒ぎと化した。糸原には「あそこで打つとは、いい肝っ玉してますね」と目を細め、梅野には「素晴らしいバッティング」と称賛を惜しまない。
若虎が見せる確かな成長-。秋から徹底してバットを振らせた。その中で梅野に打撃指導をした際「意外にのみ込みが早い。ちゃんと教えないといけませんね。反省です」と金本監督は言った。
根気よく、我慢強く、そして粘り強く。指導の成果が史上初の大逆転劇による4連勝、今季初の単独首位を呼んだ。「今日はしっかり勝ちを喜んで、慢心することなく、おごることなくやっていく」と締めた金本監督。12年ぶりのVへ、この1勝が間違いなくターニングポイントになる。