金本虎、驚異の粘り 六回、打者9人で4点!猛追で巨人ビビらせた!
「巨人9-7阪神」(10日、東京ドーム)
簡単には引き下がらない。金本阪神が7点ビハインドの展開から驚異の粘り腰で最後は2点差まで追い上げた。9点差を逆転した6日・広島戦の再現とはならず、破竹の連勝街道も6で止まったが、慌てる必要は全くない。どんなに劣勢でもドラマを起こしてくれるという期待感がある。再進撃開始や-。
語る表情に悲壮感はない。連勝が「6」でストップ。さらに7年ぶりの1試合5被弾を思えば、怒りがにじんでもおかしくなかったが、金本監督は前を向いた。次に進めるだけの光が、8日ぶりの敗戦の中に見えていた。
「選手の雰囲気から、もう一回ひっくり返してやろうかという本気度というか、本当にひっくり返そうという雰囲気を感じたんでね。そういう気持ちを忘れないように、これから」
五回を終わって7点のリードを許した。お祭り騒ぎの東京ドーム。そんな劣勢での反発力。見せ場は六回だ。先頭からの連打と四球で無死満塁となり、糸原が押し出し四球で1点を返す。続く梅野と代打・上本は倒れ、反撃の炎がしぼみかけても、気持ちは途切れない。
2死満塁から高山が右前適時打を放つと、続く北條は左中間フェンス直撃の2点適時二塁打で3点差に迫った。「2アウトからね、1アウトでチャンスがつぶれてチェンジになるところで、2人もよく打ったしね」。最後は糸井が二ゴロで凡退したものの、一挙4得点で一発同点の状況まで追い込んだ。
6日の広島戦では、9点差から世紀の逆転劇を演じた。その再現を予感させた猛攻。高まったムード。だからこそ指揮官も執念の一手も見せた。八回に代打で出場した原口が右前打を放つと「こういうこともあるよという、備えとして」と、八回裏に今季初めてマスクをかぶらせた。
原口は「(ベンチに)帰ってすぐ言われました。特別な感情はなかったですけど、少し驚いたぐらいです」と振り返った。九回に攻撃がつながっていけば、原口が入った9番まで回ることを想定。「そういう計算を入れてのこと」という起用だった。結果的に敗戦で終わったが、何も残らなかったわけではない。
「この気持ちを持続していけば、やっぱり何か違う、今までにない新しいものが見えてくると思うし」と金本監督。巨人の楽勝ムードを消し、慌てさせた猛虎の意地。この戦いができれば、1敗もすぐに取り返せる。