福留V撃で3年ぶり貯金10 日曜日6連勝で首位快走 ベテランが打線けん引
「DeNA2-4阪神」(14日、横浜スタジアム)
頼りになる主将や-。阪神・福留孝介外野手(40)が同点の九回無死一、二塁から、敵の守護神・パットンを打ち砕く決勝の右前適時打。日曜日6連勝を飾り、ハマの青空に六甲おろしの大合唱が心地よく吸い込まれた。連勝で貯金は今季最多、3年ぶりとなる「10」の大台に乗った。
勝ち越しのホームインを確認すると、一塁を回ったところで何度も手をたたいた。土壇場で均衡を破る右前適時打。福留の勝負強い打撃が、チームに勝ちをもたらした。
いつも通りゆっくりと構え、鋭い眼光をマウンドに注ぐ。同点の九回無死一、二塁で迎えた第4打席。普段使用している白木のバットではなく「気分転換」と茶色の10グラム軽いバットを手に持っていた。3球目。低めの変化球を捉えた。鋭い打球は一、二塁間へ。二走の大和が生還し、決勝点をたたき出した。
それまで2度、好機で凡退していた。「チャンスで結果が出ていなかったし、自分のスイングをしていた中で、捉えた打球が(野手の)正面をついたりと。割り切って臨んだ。結果、良かったよ」。ベテランらしく、1打席ごとに切り替えて臨む。経験と技術が凝縮された安打だった。
金本監督は「前の打席もいい当たりしてたから期待はしてましたけど、その通り期待に応えてくれました」とうなずく。さらに片岡打撃コーチも「さすが主砲」と絶賛した。4番に座る男は、とにかく頼りになる。
この日の勝利で日曜日は6連勝。さらに貯金は「10」となり、首位を快走する。好調な打線をけん引するのは福留、鳥谷、糸井のベテラントリオだ。中でも今季加入した糸井との3、4番コンビは相手に脅威を与えている。
超人の加入が決まった昨オフ、福留は「好きにやらせたらいい」と話した。それはプレー中も、だという。一般的に4番が打席に立つと、走者はあまり盗塁を企てない。盗塁を成功させるために打者がストライクをあえて見逃す必要性が出てくるからだ。それでも主将は糸井の盗塁について「好きにしていい」と任せている。お互いのベストパフォーマンスはもちろん、攻撃の厚みにもつながる。ベテランの配慮が好循環を生み出している。
母の日の快打に「喜んでくれるといいけどね」と目を細めた福留。最愛の家族へ贈る最高のプレゼントとなったに違いない。