秋山、圧巻12K完投 虎今季初&自身7年ぶり 同級生・梅野に感謝

 「阪神8-1中日」(16日、甲子園球場)

 完全に覚醒した。阪神の秋山拓巳投手(26)が9回を自己最多の12三振を奪う快投で6安打1失点に抑え、チーム完投一番乗り。球数も自己最多の130球を投じ、3勝目を飾った。セ・リーグで唯一勝ち星がなかった中日から白星を挙げ、“セ制覇”も達成。今季は「6番目の男」としてローテ入りしたが、この安定感はもはやエース格と言っても過言ではない。

 マウンドで両手を突き上げた。大歓声のシャワーが降り注ぎ、秋山は7年ぶりに味わう心地よい達成感をかみしめた。「まさか完投できるとは思っていなかった」。今季チーム35試合目で初めて1人で9回を投げ抜いた男は、お立ち台で満面の笑みを浮かべる。

 立ち上がりは決して順風満帆ではなかった。五回まで毎回のように走者を背負った。それでも磨きをかけた真っすぐで決定打を封じた秋山。五回に2死から連打で1点を失ったが、その直後、ルーキーの糸原が放った走者一掃のタイムリーが右腕の心を奮い立たせた。

 「イヤなムードになった直後に援護してくれて、あそこで最後まで投げないといけないと思った」。六回以降は立ち直り、テンポ良くアウトを積み上げた。奪った三振は自己最多の12個。ルーキーイヤーの2010年以来の完投勝利に「週頭で1人で投げ切れたのは素直にうれしい」と言った語り口からは、エースの風格すら漂う。

 金本監督も「今年、先発の6番手として入ったピッチャーが最初に完投してくれるのはうれしい」と目を細めた。そして「去年、最初は中継ぎで上がってきてボコボコに打たれて。やっぱりそうかというところから、這(は)い上がってやってくれている。他の投手の励みにもなる」と飛躍をたたえる。

 そんな“復活”の影には同い年の女房役の存在があった。「梅野のリードがはまっている。今はそれを信じて投げるだけ」。ロッカーで空き時間があれば、穴が空くほどチャート表を見つめる梅野の姿を何度も目にした。

 自分のために休む間も惜しんで配球を考えてくれる。ゲームプランを組み立ててくれる同級生がいる。孤独と言われるマウンドに立っても、動じない心は信頼できる捕手がボールを受けてくれるから-。バッテリーの強い絆が今、数字となって如実に表れている。

 「梅野にはしっかり感謝しています」と確かな信頼関係を口にした右腕。最多となる貯金11を呼び込んだ快投-。いまや先発ローテに秋山の名は絶対に欠かせない。

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