福留“休養日”に代役4番・原口 マルチ安打で魅せた
「阪神1-2中日」(18日、甲子園球場)
猛虎の連勝が「4」で止まった。甲子園での連勝も「6」で止まった。でも、悲観する必要は全くない。阪神・金本知憲監督(49)が福留孝介外野手(40)を積極的休養でスタメンから外した一戦で、代役4番に据えた原口文仁捕手(25)が1カ月ぶりのマルチ安打。敗北から得た収穫を携え、再進撃を開始する。
好投のメッセンジャーを援護してあげられなかった。あと1本、ホームベースが遠かった。それでも尾を引くような、次戦に影響を及ぼすような黒星ではない。金本監督は4番・福留の休養日を作り、代役を任せた原口に確かな光明を見い出していた。
「だいぶ体の突っ込みというか、スイングの軌道もよくなっているし」と評した指揮官。4月18日の中日戦以来、今季2度目の4番に指名した男は初回2死一塁から初球のストレートをきれいに逆方向へ打ち返した。一、二塁間を完ぺきに破る右前打で好機を広げ、続く中谷の先制タイムリーを呼び込んだ。
三回の第2打席は痛烈な打球が三塁ベースを直撃し、白球が左翼方向を転々とする間に一気に二塁を陥れた。八回の第4打席もしっかりとボールを見極めて四球を選んだ。打席内容は明らかに良くなっており、原口自身も「いいスイングの中でヒットが出ているので続けたい」と力を込める。
4月下旬から大不振に陥り、打率は最低で・227まで落ちた。バットのヘッドが下がり、スイングの軌道が波を打った。気持ちが焦り、頭が前に突っ込むことで持ち味の軸回転も消えていた。
悩みに悩んだ末、きっかけを見つけたのは先週末の横浜遠征中。構えた際、グリップの位置を少し落とした。「自分で振りやすいポイントを見つけて。だいぶボールを捕まえられるようになった」。自身のスイングを映像で見直し、自軍だけでなく相手選手のスイングもベンチから観察し、ヒントを得た。
前夜の一発に続き、この日はおよそ1カ月ぶりのマルチ安打。今後、着実に貯金を積み上げていくためには、福留、糸井、鳥谷ら主力選手をいかにシーズン終盤までいい状態で起用できるかがカギになる。
「明日からの(ヤクルト戦の)3つが(先発は)右(投手)が来るという予想だから」と福留をスタメンから外した意図を明かした金本監督。原口が復調すれば「まあ、安心してね」と代役4番を任せやすくなる。
連勝が止まっても、新たな勢いを生み出す要素が生まれた1敗。決して悲観することなく、猛虎はエネルギーを蓄えて神宮の杜へ向かう。