敬遠球がV暴投 金本虎、珍逆転劇で連敗脱出!日曜7連勝
「ヤクルト4-5阪神」(21日、神宮球場)
奇跡的な勝利だった。2-4の七回、阪神は同点に追いつき、なお2死二、三塁で、福留孝介外野手(40)に対して敬遠策を取ったヤクルトだったが、2番手・ルーキがまさかの大暴投。思わぬ形で決勝点が転がり込み、連敗を3でストップ。日曜日は7連勝となった。このラッキー勝利を呼び込んだのは高山俊外野手(24)、上本博紀内野手(30)の1、2番コンビ。2人で4打点を挙げる活躍で猛虎打線を引っ張った。
あり得ない超ミラクル劇に、神宮が割れんばかりの大歓声に包まれた。上本の同点適時内野安打で勢いに乗り、なお続く2死二、三塁の絶好機。福留が打席に入ると捕手・中村は立ち上がり、敬遠の態勢を整えた。誰もが満塁をイメージし、ネクストバッターズサークルの中谷に目を移す。そんな中、3球目に奇跡が起こった。
ルーキの投球は、大きく高めに抜ける大暴投。三走・高山が勝ち越しのホームを踏み、これが決勝点となった。今季初の4連敗を阻止する劇的な勝利。金本監督は「それをきっちりものにできたから」とナインを称えた。その中でも、文句なしのヒーローは高山だ。
ミラクルが起きた七回。1死二、三塁から、高山の打球は高く跳ねてルーキの頭上を越えた。二塁・山田が捕球したが、一塁は間に合わない。執念の適時内野安打で1点差とし、上本の一本につなげた。「全力疾走は普通のことなので」。当たり前のことを当たり前にやる。青春時代を過ごした神宮で、野球人として最も大事なことを体現した。
初回は中前打で出塁し、三回の先頭では外寄りの変化球をフルスイングで右翼席まで運んだ。2試合ぶりの3号は「ちょっとこすったんですけど、うまく(風に)乗ってくれてよかったです」。しかも母校・明大の1学年後輩、ドラフト2位・星からの一発。先輩として貫禄を見せつけた。
3月31日・広島との開幕戦(マツダ)以来の猛打賞。苦しんでいた青年のバットは、打率・271と少しずつ上がってきた。この日の試合前練習では金本監督からワンポイントアドバイスを受けた。「真っすぐも、カーブを打つときみたいに体の『割れ』を作ること」。真剣なまなざしで聞き入り、自身の打撃と照らし合わせていた。
打席の立つ位置を半足分後ろにするなど、練習で試行錯誤を繰り返す。「いろいろ考えながら、試しながらやっているところです」。思い、悩む日々もある。歩んできた足跡を信じ、今は前を向く。
「ベンチもチーム一丸となって、勝ちに向かってやっているところかなと思います」
日曜日は7連勝。また、新たな気持ちで戦いに備える。23日からは本拠地で巨人3連戦。高山の復活が、虎をさらに強くさせる。