「阪神１－３巨人」（２４日、甲子園球場）

　文句などつけられない。白星はつかなかった。チームも敗れた。それでも宿敵・巨人に対して見せた老練な技が光る。阪神の先発・能見が５回まで１本の安打すら許さない投球でＧ打線のバットを封じた。

　丁寧に制球した。初回、いきなり１番・長野に四球を許すも得点は許さない。四回に坂本勇への四球、七回にはマギーの左前打でそれぞれ先頭を出塁させるも後続をピシャリ。初安打を浴びたのは六回２死。坂本勇に中前打を許したが、決定打は打たせなかった。７回を２安打無失点で敵を寄せ付けなかった。

　淡々と見える。ただ、落ち着き払って自分の役割を全うできることこそがベテランのなせる技。「（先頭打者を）出さなければよかったんですけど」。満点に近いこの日の内容にも、さらに上を目指す向上心がある。

　経験を重ねてきた分、引き出しがある。自身の体調と相談してブルペンでの投球練習を行わず、体のキレを戻すことを念頭に短距離ダッシュを繰り返して臨んだこの日のマウンド。そんな工夫を見せるベテランの投球に金本監督も「前回同様、今日は７回を投げきってくれてね。やっぱり、なかなか勝ちがつかない中、ベテランが頑張ってくれている」とねぎらいの言葉だ。

　口調は決して暗くない。自身のことよりも、懸命に守ってくれたバックへの感謝を口にした能見。「（全体的な投球内容は）まあまあ。よく守ってくれました」。次こそはチームメートと勝利を喜びたい。