高山に課題あり 先頭弾のち逆転許す拙守…中村コーチ「集中力が続かない」
「交流戦、ロッテ8-1阪神」(1日、ZOZOマリンスタジアム)
一流への道のりはまだまだ遠い。阪神の高山俊外野手(24)が一回の守備で目測を誤って打球をそらしてしまうミス(記録は二塁打)を犯し、逆転を許した。打撃では一回に今季2度目の初回先頭打者アーチを放つも、金本知憲監督(49)は凡退した五回と七回の内容を挙げ、さらなる成長を促した。チームの連勝は2でストップ。2日からは本拠地で日本ハムを迎え撃つが、高山に意地を見せてもらいたい。
左翼方向へ上がった飛球に高山の足が一瞬止まった。1-0の初回2死一、二塁。鈴木の打球は風速6メートルの幕張の風に押し戻される。懸命にグラブを伸ばしたが…。無情にもボールは芝で弾み、左翼線へと転々。2走者が生還し逆転を許した。
「(一歩目が遅れた?)そうですね、はい」
勝負の分岐点となった1球-。結果的に、これが決勝点となってチームは負けた。試合後、厳しい表情で地元・千葉を後にした背番号9。打球に対し、一歩目を前に踏み出していれば捕球できた可能性もある。二人三脚で守備力向上を目指す中村外野守備走塁コーチは、あえて厳しい言葉で奮起を促した。
「何度も言っているんだけど、集中力が続かない。プロに入る前まで守備に興味がない選手だったから。根気強くやっていきます」
5月30日・ロッテ戦の二回1死一、二塁。三木の三塁線を破る打球の処理を誤り、2人目の走者を生還させてしまった(記録は失策)。一瞬の油断がミスを生み、ときに勝敗を分ける。期待が大きいからこそ、求めるレベルも高くなる。
一方、バットでは持ち前の長打力を発揮した。初回、唐川の外角直球をバックスクリーンへ。先制の5号は5月2日・ヤクルト戦以来、通算3本目の先頭打者弾。「1打席目に、直球に振り遅れている打席が多かったので」と反省を生かした。
「風が…スタートが遅れてたような感じだったけど。でも、それは彼の守備力なんでね。分かって使っているわけですから。期待してね」
直後の守備での悔やまれる“1球”。そして3打席目以降の打撃内容にも金本監督は、「もう少し丁寧さというか、これをね、経験していってほしいね。経験してあのカウントでそういう結果にならない打ち方というか。見ていてもったいないよね、カウント有利で」と話し、「経験を生かしていかないと成長していかない」とレベルアップを求めた。
高山は次代のタイガースを背負う男。だから、今夜の苦い記憶も未来への糧にすればいい。幼い頃から身近だった千葉の風が、青年を強くさせる。