岡崎プロ初サヨナラ打 13年目のプロ1号から連日主役
「交流戦、阪神4-3日本ハム」(4日、甲子園球場)
苦労人が連日のヒーローや!阪神・岡崎太一捕手(33)が前夜のプロ初アーチに続き、今度は初のサヨナラ打を放った。3-3の延長十一回1死満塁、フルカウントからの13球目を左翼線に打ち返し、今季2度目のサヨナラ勝ちに導いた。交流戦開幕から2カード連続勝ち越しで、貯金を再び2桁の10に戻した。首位・広島を1ゲーム差でピタリ追走する。
粘って、粘って、執念のスイングが歓喜を呼んだ。今季最多4万6744人が詰めかけた大甲子園。そのど真ん中で、岡崎がウオーターシャワーを全身に浴びた。前日3日の殊勲弾に続き、この日はプロ初のサヨナラ打。「うれしかったです」。初夏の陽光が背番号57を照らす。文句なしの主役は、2日連続のお立ち台で喜びを爆発させた。
「昨日と同じなんですけど、最高です!」
延長十一回1死満塁。8番手・エスコバーの気迫に真っ向から向かっていった。「内角に来たら当たってもいい」。ファウル、ファウルで粘って13球目。魂を込めた一振りで打球は左翼線を破った。「(金本監督が)『来いっ』みたいな感じだったので」。破顔一笑の岡崎は、指揮官と熱い抱擁を交わした。
前夜は試合をひっくり返すプロ初本塁打。ホームランボールを手に家路に就くと、妻・明通子(あつこ)さんは涙を流したという。「よそ行きの料理を作って、待ってくれていました」。記念球を手渡し「ありがとう」と言葉を添えた。今夜は、実家に帰省していた子供たちも帰ってくる。
「(昨日は)テレビで見ててくれて。(今日は)ちょっとしゃべりたいと思います」
休日は愛する家族のお父さんだ。わが子とキャッチボールをする近所の公園では、度々“試合”が行われる。小さい手でバットを握る姿を見て、ついつい熱くなる。甲子園ではマスクをかぶる岡崎も、公園では羨望(せんぼう)のまなざしを向けられる投手。誰よりもかっこいい背中が、子供たちの夢に変わる。
金本監督は「ちょっと人生変わりましたね(笑)。こんな2日続けて試合を決めるなんて。ビックリですね」と殊勲者を称えた。打率は・278まで上昇。それでも、プロ13年目の男に慢心はない。
「守備で投手にいい投球をしてもらえるように、というのが僕らの仕事だと思うので」
2カード連続勝ち越しを決め、首位・広島とのゲーム差は1のまま。さあ、首位奪還へ突っ走ろう。岡崎の大活躍は、虎に新たな風を吹かせている。