糸井、左太もも負傷 マルチも途中交代、病院直行…
「交流戦、ソフトバンク3-0阪神」(9日、ヤフオクドーム)
阪神の糸井嘉男外野手(35)にアクシデントが発生した。六回、先頭で中前打を放った直後に交代。左太ももを負傷したもようで、試合途中に球場を離れ、病院に向かった。今後については未定。“糸井ショック”に見舞われた猛虎打線は、ソフトバンクの4投手に計14三振と無残な結果。最後まで本塁が遠く、今季3度目の完封負けを喫した。
頼れる糸井にアクシデントが起きてしまった。六回の先頭。バンデンハークの変化球を捉え、この日2本目の中前打を放った直後だ。一塁へと走る姿に“異変”を感じさせた。ベースに到達すると、すぐさま「代走・新井良」が告げられる。虎をけん引してきた超人は、うつむき加減にベンチへと歩を進めた。
七回表終了後、左太ももにアイシングを施した状態でベンチ裏通路に姿を現した背番号7。本屋敷トレーナーが付き添い、福岡市内の病院へ向かった。若干足をひきずりながら、表情は一切崩さない。戦いの場を去る男の背中には悔しさがにじんでいた。
金本監督は「でしょう、おそらく」と、初回に前兆があったことを明かした。先頭で中前打を放ち、10打席ぶりの快音に気持ちは高ぶる。続く上本の2球目に二盗を成功させ、チームトップの盗塁を「9」に伸ばした。だが同時に、左太ももは異常を訴えていた。
「ちょっと、だんだんきつくなってきたみたいだから。そこまでひどくはないと思うけど。ひどくなる前に代えたということは、そういうことですから」
開幕から全56試合にスタメン出場して打率・272、7本塁打、38打点。糸井の存在は、相手に脅威を与えていた。1月の自主トレ中に関節炎を患った右膝の状態も、最近は良化。3日・日本ハム戦からは、3試合連続で盗塁を記録。本屋敷トレーナーは「いい状態にあると思います」と手応えを感じる一方、「走り過ぎるのも不安はありますけどね…」と慎重な姿勢だった。
現時点で今後については未定だが、最悪の場合、検査結果によっては登録を抹消する可能性もゼロではない。シーズン終盤の戦いを見据え、今は無理をさせないという判断もあり得る。いずれにせよ、チームの根幹を揺るがす非常事態だ。超人なき後、チームは敵地で今季3度目の完封負けを喫した。
10日以降の出場の可否について、金本監督は「(状態を見て?)もちろん、はい」と話した。糸井の存在なくして、金本阪神の飛躍は難しい。暗雲たちこめた博多の夜、誰もが天に「無事」を祈った。