上本、今季初1番で2点打 「ヒーロー的存在」同郷後輩・柳田が明かす高校時代
「交流戦、ソフトバンク1-5阪神」(10日、ヤフオクドーム)
相手の隙を突く好球必打。阪神・上本博紀内野手(30)が一振りで試合の流れを一気に呼び込んだ。前日9日に負傷した糸井の代役として今季初めて1番で起用されて放った貴重な2点適時二塁打。「打つべきボールをしっかり絞っていった」。3ボールからストライクを取りにきた直球を逃さなかった。
二回、糸原の2点二塁打で先制し、なおも2死二、三塁。相手の強力打線を考えれば、是が非でも追加点が欲しい場面だった。マウンドの松本裕は制球がままならずアップアップ。苦しい精神状態にトドメを刺すように甘い球を捉え、鋭い当たりで三塁線を抜いた。
これまでは主に2番打者として、相手の嫌がる打撃を徹底してきた上本。時には打てる球でも見送るなどして粘り、時には初球から積極的にスイング。打線の流れを考え、役割を全うしてきた。だがこの日は、糸井が欠場し、リードオフマンとして先発出場。打順は変わっても“嫌らしさ”は変わらなかった。
上本の打者としてのセンスは、日本球界屈指の強打者が「天才」と話すほど。ソフトバンクの3番・柳田は高校時代から上本の背中を見ていた。同郷の2人は広島商と広陵というライバル校に在籍していた。練習試合などで2学年上の“先輩”の打撃を見た時、度肝を抜かれたという。
「めちゃくちゃヒットを打つし、パンチ力もあった。打ち方も独特で、周りはみんなマネしていた。広島のヒーロー的存在です。かっこよかったですね。ぼくは左打ちだったんでマネはしていなかったですけど(笑)」。そう言って柳田は笑顔で懐かしんだ。
今年の交流戦での“直接対決”は残り1試合。カード勝ち越しをかけて戦う。高次元なレベルの打撃で魅せる2人だが、もちろん勝つのは上本だ。